第十五話 第三十四部 打たせて取るピッチング
ギィイイン!
久保「おーらい!」
バシン アウト!!
卜部「ちっ、打ちにくいぜ。」
渡部投手の投球術が冴え渡っていた。ストレートはあまり投げず変化球主体のピッチング。落ち着いた投球からしっかりとしたボールが投げられている。威力は決してあるわけじゃないけどこのコントロール。こういうピッチングもあるということか。私には真似できない。
ググググッ バシン
ストライクワン!
栗山「(これが入るか。)」
栗山もかなりてこずっている。このままだと相手のペースに流れてしまう。だけどそのペースを戻していくのも私の仕事だ。投げて抑えればよいこと。だけどもう少し休憩する時間があるといいかもしれない。
ギィイイン
井上「よっと。」
完全に打たされた打球。ショートが華麗にさばいてファーストに投げる。
バシン! アウト!
渡部「よっしゃ!」
相手は再び声が大きくなってベンチへと戻っていった。勢いと気持ちがさらに沸きあがっていた。私はグローブを持ってマウンドに向かった。あと二回、しっかりと抑えることが私の仕事だ。
緒方「あいつをとらえるならしっかりとボールを見ていかないといけない。疲れがやってきてボールの数が増えてきている。そしてフォームが少しずつ崩れていってる。ここが踏ん張りどころだ。しっかり点をとっていくぞ!」
「っしゃああ!!」
敵ベンチから大きな声が聞こえてきた。簡単に抑えられるわけはないけど…。自信を持っていこう。
由紀「亜弓!! 気合いれていこう!!」
由紀が外野から声をかけてくれる。私はそれに答えるようにグローブをあげて返事をした。
亜弓「よし、…っしゃ!」
私はグローブを叩いてホームの方を向いた。私にできることは…この打者を…!




