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ドクターK少女  作者: レザレナ
第十五話 甲子園初戦、富山代表の小川山実業水橋高校
520/835

第十五話 第二十七部 由紀が手を上げると

緒方「えっ!?」

 打球は鋭くサードの頭上を越えていく。そしてライン上へと一直線に飛んでいく。

 ドッ

 フェア!!

永瀬「なにっ!?」

佐島「なんだよこいつはっ!」

井上「セカンドねらってくるぞ!」

 由紀は自慢の快足で一塁ベースを蹴って二塁へと向かっていく。レフトが追いつくとショートの中継にボールを渡す。

 バシン

井上「ちっ。」

 ズザザザ

 由紀があっという間にセカンドベースに到達した。思いっきり振った作戦は大成功、二塁打になった。

由紀「っしゃあ!!」

 由紀は右手を突き上げて声を出した。それと同時にスタンドが沸く。これがいつものような光景へと変わっていく。由紀が打てば必ず声援が沸いてくる。由紀には私たちにはないものを持っている。だからこそできることだ。

府中「(監督、指示は?)」

日下部「(ここは確実にだ。)」

 次の打者は府中先輩。きっとヒットで由紀を帰してくれるだろう。

緒方「(なっ?)」

卜部「えっ?」

 府中先輩がバントの構えをしている。由紀はいつでも三塁にいける体勢をととのえていた。まさか府中先輩が送りバント? ワンアウト二塁、府中先輩の打力とかを考えれば確実に返せるはず。そこまでしても一点が欲しいという状況なのか…。

永瀬「(一つもらいにいこう!)」

 シューーー コツン

緒方「(サードは間に合わない。)永瀬、ファースト!」

 キャッチャーの指示でピッチャーは迷わずファーストへ送球した。

 バシン アウト!!

「府中! ナイスバント!!」

 スタンドから拍手が聞こえてきた。バント一つでこの盛り上がり。しっかりと仕事をこなす人は認められている。羨ましい。

海鳳「(ここまで一度も打たせてもらってない…。どうにかして打ちたい。打てるから打ちたいんだ!)」

 海鳳がバッターボックスでバットの感触を確かめながら何故かスタンドの方を見ていた。その視線の先は多くの人数がいて分からないと思ったけど、私たちには分かった。

海鳳「恵美先輩!」

 海鳳が突然大きな声で恵美先輩の名前を呼んだ。

恵美「な、何!?」

 球場全体がざわつく。何をやろうとしているんだ。そしてバットをセンター方向へと向けている。これって…。

「おおおおおおお!!!」

海鳳「ホームラン打ってみせます! 見ていてください!!!」

恵美「なっ!?」

永瀬「んだと…。」

緒方「(こいつ…!)」

 ホームラン予告だ。それも甲子園でこんな大胆なことを…。相手選手は海鳳をにらみつけている。相手監督は呆然とした顔、日下部監督でさえあきれた顔をしていた。本当に海鳳は何をしたいの。

海鳳「っしゃっす!」

 海鳳が左バッターボックスに入った。そしてゆっくりと打つ構えに入った。しかしいつもと違う…。バットのヘッドを逆バッターボックスにかるく向けている? あの小笠原選手や落合選手に似ているフォームは?


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