第十五話 第二十三部 記録タイ
亜弓「ごめん、もうちょっとだったけど。」
由紀「仕方ないよ。あとはもう少し力が分散しないようにステップをしっかり取るといいよ。」
私はヘルメットを置いてグローブを取った。ステップが開いていたから力がしっかり入らなかったのかな。もう少し意識を変えてみよう。
バシーーン! ストライクワン!
卜部「(さっきより球がよくなってる。たしかにこれは厳しいものがあるな。)」
シュゴオオオ ブン バシーーン!
ストライクツー!
あっという間に追い込まれてしまった。でもここからが卜部先輩の本領発揮、なんでもできる卜部先輩なら…。
卜部「(まともに戦うのは厳しい。なら…!)」
シュッ
卜部「(これだ!)」
す、スリーバント!? まさかこの場面でこんな作戦をしてくるなんて。しかし上手く決まるのだろうか。
コツン
横倉「っしゃあ!」
サードが走ってボールをつかみにきた。しかし卜部先輩も速い。
シューーー バシン!
アウトー!
さすが、守備が堅いだけある。ギリギリアウトになってしまった。意表をついた作戦だったのに落ち着いて処理していた。なんて固い守備なんだろうか。でも私たちだって信頼できる守備陣がいる。記録のかかったマウンド…。あまり意識はせずに勝ちに行くことを考えよう。
岸蔵「俺からか。よし、必ず打ってやるからな!」
久保「力むなよ。当てにいく形でいいんだ。」
私は投球練習でしっかりと感触を確かめてから大きく深呼吸をした。
友亀「しまっていくぞ!!」
友亀の声で皆が声をかける。四回に入って二順目。バッターは一番の岸蔵。あの構えている所に投げるっ!
シュゴオオオオオ バシーーン!
ストライクワン!!
岸蔵「(このコースも入るのか。低いと思ったがなんだこのストレート。)」
よし、球は伸びている。ならもう一度!!
シュゴオオオオ ブン バシーーン!
ストライクツー!
由紀「ナイスボール!!」
ツーストライクと追い込んだ。よし、いい感じ。後はもう一度…あの場所にストレートを!
シュゴオオオオ ブン バシーーン!
ストライクバッターアウト!!
岸蔵「くそっ!」
亜弓「っしゃあ!!」
やった、これで記録タイ、十者連続奪三振を取ることができた!!




