第十五話 第二十一部 九者連続奪三振
佐島「(たしかにやべぇよ…このストレート!)」
シュゴオオオオオ バシーーン!
ストライクワン!
友亀「ナイスボール!」
由紀「いいよいいよ! どんどん押していこう!」
投げるたびに私の心の中で楽しいという気持ちが沸いてくる。連続奪三振が途切れたとしても負けてはいない。今はここで投げていることが楽しくて仕方がなかった。もし点を取られたらどうしよう。そんなことを試合前には考えていたけどそんなものはもう無い!
シュゴオオオ ブン バシーーン!
ストライクツー!
「おおおお!!」
スタンドからは歓声が沸きあがる。この日最速の143キロが出たからだ。私にとってもこの球速表示には驚いた。でも…球速が出ても抑えられなきゃ意味が無い。次は…チェンジアップ。ここまで変化球はほとんど投げていない。だからこそ有効活用できる変化球になる!
シュッ
佐島「(これって!?)」
緒方「チェンジアップ!」
ググググッ ブン バシーン!
ストライクバッターアウト!!
亜弓「っし!!」
私は再びガッツポーズを取ってマウンドを降りていった。九者連続奪三振、あの十者連続奪三振の記録まであと一歩に迫った。暁美さんでさえ、他の投手でさえ出来なかったこの偉業、達成してみたい!!
由紀「すごいね、甲子園に来てこのピッチングができるなんて…!」
池之宮「お前、プロいけるんじゃないか?」
亜弓「えっ!?」
池之宮の口からプロという言葉がやってきた。プロ野球、たしかに狙えるなら…。でも女子なんかがプロ野球に入るなんて…やっていけるのだろうか。
海鳳「まあ今はそんな深く考えるな。いずれプロに入る女性なんて出てくるからさ。特に身近なところだと高校三年生の山茶花桜とか安富桃音とか。大学でも椎葉真菜とかが活躍してるだろ。」
たしかにそうだ…。でも私よりプロに近いのは…由紀かもしれない。
由紀「よし、それじゃあお互いプロにいけるように頑張ろう!」
亜弓「由紀…うん!」
友亀「それなら俺も負けないぜ。」
ベンチの皆が気合を入れている。たしかにこの学校にやってきている人は意識が高い。そうなると自然に皆がプロを目指すようになる。皆がライバルであり、味方なんだ。
友亀「次は俺からだよな。日高、お前も準備しておけよ。」
亜弓「はい。」
私はグローブを置いてヘルメットをかぶった。この甲子園で…どこまで戦えるのだろうか…。




