第十五話 第十七部 タッチアップの威力
由紀「亜弓!! やったよ!」
亜弓「うん! ナイスバッティング!」
卜部「戻ってきたぜ。」
府中「ああ、よくやった! よし、俺もいくか!」
由紀がカットボールを打って先取点をもぎ取った。由紀だからこそ出来たし、この一点は大きい。ましてや相手の新しい決め球を打ったのだから…。
緒方「ドンマイドンマイ! 落ち着いていこう!!」
永瀬「(わかってる…初ヒットも初打点もアイツだ。アイツだけはどんな球を投げても打たれる。というより俺のカットボールをカンペキに捕らえられるのはあいつしかいない!)」
次のバッターは府中先輩。まだランナー一二塁という絶好の場面だ。この重量打線から逃れるのは至難の業だ。
日下部「(ランナーを進めるバッティングをするんだ。)」
府中「(わかりました。)」
府中先輩は左打席に立ち、大きく構えた。長打を狙っているのだろうか。いや、そうではないはず。
永瀬「(カットボールはこいつに通用する!!)」
シューーーー
府中「(ここか!)」
緒方「(かかった!)」
ギィイイイン!
緒方「ライト!!」
打球はライトへの大きなフライ。これならタッチアップが狙える!
渡部「(なめるなよ!) まかせろ!!」
バシン アウト!!
栗山「(勝負!!)」
ダッ
ライトの捕球と同時に栗山先輩がスタートする。そして助走をつけたライトが投げる。
渡部「らぁあああ!!」
レーザービームがダイレクトにサードベースへ向かっていく。
由紀「(今!)」
ダッ!!
由紀がスタートした!? いや、これは最高のタイミングだ。この送球なら中継も厳しいところだ。あとは栗山先輩がセーフになるだけ!!
ズザザザザザ バシン! セーフ!!
栗山「っし!」
横倉「おっけ! ライトナイス送球!!」
セーフにはなったがライトの肩を見ることができた。相当なものを持っているようだった。そして次は海鳳の出番がやってくる。私たちの打線は止まらない。
府中「監督、すみません。」
日下部「ランナー進めたから最低限だ。カットボールだろ、次は確実に打てよ。」
府中「わかりました!」
海鳳「(よっしゃ、ここは思いっきりいくか!)」
緒方「(しゃあねぇ、ここはアレしかないな。)」
キャッチャーがサインを出している。ランナーの警戒だろうか…。たしかに何があるかわからない場面、警戒されて当然なはず…。
シュッ
海鳳「えっ?」
池之宮「…は?」
バスッ ボールワン!
け、敬遠!?




