第十五話 第十五部 ダブルセーフティー
由紀「ナイスピッチング! すごいね!!」
亜弓「ありがとう。次、由紀も二打席目入るね。がんばってね!」
由紀「ありがとう!!」
由紀はベンチに戻ると飲み物を手にとった。そして三由さんがコップを用意してくれている。
三由「ナイスピッチング。」
亜弓「ありがとうございます。投げることが楽しくて仕方がありません!」
館川「いい所までなげてくれよ。」
栗山「あとは俺たちが塁に出るからさ。」
卜部「よっしゃ、栗山。おもいっきりいくぞ。」
栗山「おっす!」
卜部先輩と栗山先輩がグータッチしてヘルメットをかぶっていた。八番は卜部先輩だ。相手はどう考えて投げてくるのだろうか。
永瀬「(八番にこのバッターが…? とにかく力で押していけば打たれる心配はない!)」
緒方「(足が速いはず。なのに八番ということは…何が目的だ? とにかく、まずストライクを取らせてもらう!)」
ピッチャーが足をあげて力強く踏み込む
ゴオオオオ
久保「なっ!」
コツン
卜部「(ファーストライン際、走れ!!)」
卜部先輩は初球からセーフティーバントを仕掛けてきた。しかもライン上、打球の殺し具合もかなり良い感じだ。
久保「永瀬、カバーを!」
ドンッ!
セーフ!!!
府中「ナイスバント!!」
芦毛「さすが卜部、俊足は伊達じゃないな!」
卜部「へっ!」
セーフティーバントが見事に決まった。しかもファーストは投げられないぐらいの良いバントだった。相手も意表をつかれていて、これでノーアウトランナー一塁。次は栗山先輩の出番だ。
栗山「(卜部先輩、いきますよ!)」
卜部「(おっけ!)」
栗山先輩が大きくどっしりと構えた。ここは何が何でも二塁までには卜部先輩を繋げる作戦だろう。
緒方「(この構えなら送りは…ない。だとしたらヒットエンドランだ。)」
ピッチャーがうなづいてセットポジションに入る。卜部先輩はそれほど大きなリードはしていない。
シュッ
栗山「(一発勝負!)」
横倉「はっ!?」
コツン
永瀬「横倉! 一塁だ! 二塁は間に合わない!!」
まさかここでもセーフティーバント!? こんなの私でも思いつかないよ。しかしファーストはタイミングが微妙だ。決まって!
ズザザザ バシン!
セーフ!!
栗山「っしゃあ!!」
栗山先輩がヘッドスライディングの体勢からガッツポーズをとった。やった、これでノーアウト一二塁! そして願ってもないバッターが入った。
ウグイス嬢「一番、レフト、羽葉由紀。」
由紀「よっしゃ!」




