第十五話 第二部 手が震えているのに
亜弓「よし! 準備大丈夫です!」
友亀「よっしゃ、それじゃあ戻るか。」
私はグローブを持ってベンチへと戻っていった。でもなぜかわからないけど心の奥底から不思議なものを感じる。なんというか胸騒ぎというか…。
由紀「亜弓、後ろは私がいるからね。」
亜弓「ありがとう。…ねえ由紀、私の手を握ってみて。」
由紀「ん? いいよ。」
由紀は私の手をぎゅっと握った。そしてすぐに顔色が変わる。
由紀「亜弓……。」
亜弓「ねえ、わかるよね。私の手が震えているの。でもね、思いっきり投げられるの。甲子園に行かせてくれたチームメイトに感謝しているの。」
由紀「そりゃ私だって同じ気持ちだよ。あとは…このチームで甲子園を勝つだけ。」
府中「そのいきだな。…よっしゃ、そろそろ集合だぜ。」
府中先輩の声に各々が気合を入れていく。そして審判が準備を始めていた。
永瀬「よし、準備は問題ないぞ!」
緒方「みな並べ!! 準備だ!」
相手チームの選手たちもグラウンドに出てきた。私はゆっくりと並んで相手の様子をしっかり見た。相手の選手たちはどんな表情をしているのだろうか。
審判「集合!!」
審判の声で私たちは一気にホームベース近くに集まった。そして会場から大きな拍手で出迎えられる。この人たちと…これから試合…か。
審判「礼!!」
「しゃああああっす!!!」
審判が礼の挨拶を言うと私たちは声を出してお辞儀をした。私たちは先攻、いきなり由紀の打撃が見られる。
府中「羽葉、頼むぞ!!」
由紀「まかせてください! 一番の仕事もキッチリしてきます!!」
由紀は自信満々に言って素振りをした。
バシーーーン!!
海鳳「あれが相手エースの永瀬か。重そうな球だな。」
たしかに力強さがある。私たちはこの人から打つことができるのだろうか。




