第十四話 第二十六部 瑞華のバッティング
府中「よし、休憩終わったらシートノックだ。ピッチャー陣はブルペンだ!」
私はキャッチボールを終えるとすぐにラジオの電源を入れた。今日の第一試合は瑞華が出ているはず。結果がどうなるのかしっかり聞かないと。
由紀「ラジオの周波数は…っと。」
ザーザザー…
周波数をいじっているうちに音が聞こえてきた。応援の音が聞こえてくる…。
「第三球を投げましてストレートボール! 145キロ、これでツーストライクワンボール! 袴田選手しっかりボールを見ています。」
ちょうど瑞華の打席だ。点差はどうなっているのだろうか。
瑞華「(低めの球を狙っていけば…もって行けるかもしれない!)」
宋「羽計、前半あそこでとらえられたのは仕方がない。後をしっかり抑えていくぞ。」
京介「わかりました。」
ディア「(こいつはやりにくいな…。かといってもってかれそうなほどのパワーはあるのかどうか。だがそんなものはストレートで抑えきればよいこと!!)」
シュゴオオオオオ
瑞華「この球!!」
ギィイイン!!!
「袴田打った! これは大きい大きい!! 入ったー!! ホームラン!」
瑞華が甲子園でホームラン。か、かっこよすぎる。さすが瑞華、遠くに飛ばせるだけのバットスイングはあるみたいだ。
「今ホームを踏んで3対1、5回裏に城洋大付属が一点を返しました! これで勢いがつくでしょうか!?」
負けていたのか? 二点のビハインド、あのディア投手から3点を取らないと勝つことはできないのか。あの投手からどうやって…点を取っていくのだろうか。
由紀「亜弓、たぶんこの試合、瑞華負けるよ。」
亜弓「えっ!?」
私は思わず声をあげてしまった。なんでもう負けるってわかっているの?
亜弓「だ、だってまだ試合は終わってないよ? まだ五回だし点取れるって!」
由紀「たぶん…だからね。相手が悪すぎる。あの投手を見てわかったんだ。あの投手は相当やる、もしかすると他のチームだって…。」
由紀がそういいながら防具をつけている。由紀が見て強い相手。もしかすると由紀でも打てないんじゃないのだろうか。それほどの投手ってことだろう。そしたら打った瑞華は…。
由紀「とりあえず今は目の前の試合に向けてピッチングしよう!」
亜弓「うん、わかった。」
私はラジオを切ってブルペンへと走っていった。汗が顔から流れ出ていた…。




