第十四話 第二十部 選手宣誓
府中「そろそろ時間だ。準備はいいか?」
亜弓「緊張してきた……。」
由紀「そりゃ緊張するよ。これだけたくさんの人たちの前で行進するんだもの。」
私たちはざわつきながら今か今かと開会式を待っていた。
「ただいまより、甲子園大会、開会式を始めます。」
大きな歓声と共に拍手が聞こえてくる。そして遠くの扉が開かれる。そして行進の準備が始まった。
「前年度優勝、富良野学院高校。」
富良野学院からの入場、そしてものすごい歓声。それはそうだろう。春夏あわせて五連覇がかかった大会なのだから。そして多くの人たちが前へと進んでいく。私と由紀は隣通しで行進をしている。だんだんと明かりが近づいていく。かなりまぶしい。
府中「皆、いいか?」
芦毛「俺たちゃいいぜ。」
卜部「また戻ってきたんだな。ここに!」
中山「よっしゃあ!」
栗山「こんな多くのチームがいるのか…すげえぜ!」
私たちは楽しみで楽しみでしょうがない行進の時間がやってきた。私は明かりの部分を抜けていく…。
「おおおおおおお!!! パチパチパチパチパチ……。」
亜弓「うわぁ…。」
由紀「…すごい…。」
私と由紀は思わず声を漏らした。大きな開場と声援、そして拍手に包まれていた。…すごい、ここが甲子園なのか。私は精一杯足を動かす。体が震えている。行進だけだというのにすごく緊張する。いったいここでどんなドラマが待っているのだろうか。やる方としても見る方としてもすばらしいものが見られそうだ…。
由紀「…おもいっきりここで打ちたいね。」
亜弓「私はここで速く投げたい…。」
私たちは歩きながら一週回っていく。そして列に並ぶと一斉に前へと歩き出した…開会式が終わったら…ここでもう引退と優勝をかけた試合が始まる…。
由紀「さて…選手宣誓がそろそろだね。」
亜弓「たしか今回は桜さんだっけ?」
私たちは選手宣誓の時間になるときっちりと整列して桜さんを見た。そして桜さんが手を上げる。
桜「宣誓。私たち選手たちに夢を与えてくれた甲子園。その最高の舞台に今、私たちは立っています。私たち女性選手たちにも甲子園に出れるチャンスを与えてくれたのも、たくさんの人たちのおかげです。そして、最後まであきらめず、正々堂々、最高のプレーをすることを誓います!!」
甲子園が…始まった…!




