第十四話 第十五部 甲子園にかけるもの
瑞華「ふー。お風呂から出た後の牛乳はおいしい…。」
羽計「よく飲むよな。それって身長と関係あるのか?」
瑞華「いや、遺伝だと思うよ。家族が皆身長大きいし。」
羽計「そうか…。甲子園でもしっかりリードしろよ。」
瑞華「なによ、信頼していないわけ? 大丈夫わよ、誰が相手でも私たちは勝つんだから。そういってノーヒットノーランをやってきたでしょ?」
羽計「あれは俺の力だ。」
瑞華「ふーん。」
淳和「誰もいないわよ。入れるよ。」
六実「ありがとう…。ちょっと甲子園に行くと不便なところあるわよね。」
淳和「まあ義手は風呂の中に持っていけないからね。何かあったら私がかくして行くから。」
六実「そうだね。…それにしても良い温泉だね。」
淳和「ええ。…甲子園優勝しようね。」
六実「もちろん!!」
亜弓「ねえ由紀。」
由紀「何?」
私は外の景色をずっと眺めながら口を開く。
亜弓「すごいよね…あの人たち。私とは全然違うよ。」
由紀「たしかにすごいよ。でも亜弓も負けてないじゃない。」
亜弓「そんなことない…由紀も含めてあの人たちは特別。何かその…私にしかわからないのかもしれないけど、すごい風格を持っているように見えるの…私にはそれがないから…。」
由紀「私にはあるように見えるよ。輝いて見えてるし。」
亜弓「…由紀。」
私は由紀の優しさに心が癒されていた。何度由紀に助けられてきたことだろう。私も助けてあげたいし、助けたこともある。でも…迷惑かけすぎじゃないのかな。
由紀「何にも心配する必要はないよ。」
亜弓「えっ?」
由紀「ん。」
由紀は右手を出して握手のポーズをしてきた。私は由紀の手を握った。そしてお互いに強く握る。
亜弓「…わかったよ。私やってみせる。」
由紀「自身を持って。頑張って!」




