第十四話 第十四部 温泉を浴びて
亜弓「温泉きれいだね。」
由紀「うん、露天風呂もあって最高だよ。」
真希「瞳、温泉の中で何やっているの?」
瞳「私? 柔軟だよ。これで体を柔らかくさせているの。」
一年生同士で温泉に入るのは合宿以来かな。外は月が明るく照らしていて、温泉はちょうど良い温度。祝福の時を味わっていた。
千恵美「恵美、そこのシャンプーとってくれない? 切れちゃったから。」
恵美「わかったわよ。」
千恵美「まだ海鳳のこと考えているの?」
恵美「そりゃ…気になるわよ。食事中皆の前であんなこと言われたら…。でもあの人は本気だと思うよ。真剣に答えを出さなきゃいけないし、本当に試合でホームラン打ってくれるかもしれない。自分の気持ちなんてどう揺れ動くかはわからないから…。」
千恵美「私は応援してるよ。自分の心を素直な気持ちにするのが良いと思うよ。好きだったら好き、嫌いだったら嫌い。ちゃんと決めておきなさい。あいまいな気持ちだったらもう少し待ってもらえれば良いと思うから。」
恵美「ありがとう。なんだかんだでこういう時は優しいのね。でも試合でヘマしたら思いっきり笑ってやる。」
美琴「府中とのデートどうだった?」
三由「うん、やっぱり優しかったよ。とにかくあの鎖骨もたまらないわね。うふふ、チラッと見えるあれがもうなんというか…。」
美琴「腐の気持ちは収まっていないみたいだね。」
桃音「隣失礼してもいいッスか?」
私は突然の声に上を向いた。そこに桃音さんがいた。そうか、私たちの学校と同じ宿だったのか。私はうなづいて隣に誘導した。
瞳「この人は?」
桃音「あ、マネージャーさんッスか? 初めまして、私は関西大阪高校三年の安富桃音ッス。」
真希「あ、見たことあります! 私はマネージャーの湯野沢真希です。」
瞳「森田瞳です。それにしても身長大きいですね。」
桃音「そうッスね、よく言われます。」
そして桃音さんは大きく腕をあげた。まさかここでいっしょになるなんて予想していなかった。
真希「その…すごいですね。」
桃音「何ッスか?」
真希「胸大きいですね。」
由紀「ちょっと真希! 何聞いているのよ!! やめてよ恥ずかしい!」
たしかに突然胸の話をされては恥ずかしい。私は思わずそっぽを向いてしまう。由紀にいたっては潜って別の場所まで移動していった。恥ずかしがりやさんだな。
瞳「うらやましい…私なんて。」
桃音「そうかな? 私より大きい人なんているッスよ。亜弓、私より桜はもっと大きいわよ。」
亜弓「わ、私。胸のことはあまり興味なくて…。」
三由「わほーい!! きょぬーと聞いて!!」
真希「一番来てはいけない人がやってきちゃった。」
三由「こら真希、何言うのよ! 失礼な。私は胸の会話をしに来ただけだ!」
私はその場をゆっくりと離れ、由紀とともに温泉から出た。体は癒されたが、精神的には疲れてしまった。




