第十四話 第六部 久々の再会と両投げ投手
亜弓「すごい…こんなにたくさんいるなんて…。」
由紀「これが甲子園に来る人たちなんだね。」
私は由紀たちと共に周りを見渡した。そして見上げると高くそびえたつ甲子園の文字が。私は少しほっとした顔になって甲子園への実感が湧いてきた。この大きな舞台でいろんな人たちと野球をすると考えるとなんだかちょっとうれしい気持ちになってくる。よし、頑張らないと。
瞳「それにしてもほとんど男子ばっかりだね。」
真希「そりゃ高校野球ですもの。女性選手が出てきたのってごく最近じゃない?」
たしかに見渡す限り男ばっかり。そりゃ仕方ないところもあるかもしれない。でもさっきみたいに遠江さんみたいな人はいるはず。そんな人とお話ししてみたいかも。
?「ん? もしかして…おーい、森田!」
瞳「わっ!? でりゃぁあああ!!!」
?「なっ!? うわぁあああ!!!」
後ろで大きな声が聞こえた。私と由紀はその声に驚いて振り返った。すると一人の男がこっちに飛んできていた。
?「がはっ。」
由紀「ぎゃあああああああ!!!」
亜弓「ゆ、由紀!? どこいくの!?」
由紀はいきなりのことに悲鳴をあげ、全力疾走で逃げていった。何が起こったの? 今一人の男性が目の前で倒れている。そして目の前には瞳が背負い投げの格好のままあわてている。真希は唖然としていた。そして私は何が起こったかがわかった。瞳がこの人を投げたのだろう。しかし何故だろうか。
?「いてぇよ森田…甲子園に出る人に向かって投げるとかお前らしいよな…。」
瞳「瀬棚!!」
瞳の知り合いだろうか、瞳は驚いた顔で頭を下げていた。何が何だかわからないけど…。
由紀「ねえ、もう大丈夫?」
亜弓「由紀。戻ってきたのね。」
由紀が戻ってきたところで私たちは四人あつまって男性のところに近づいた。あれ? なんか見たことある制服な気がする。
真希「この人知り合い?」
瞳「中学校の時同じ学校だった人だよ。」
快斗「相変わらず、所かまわず投げるな。」
瞳「もうしてないわよ!!」
なんだかこの二人お似合いに見える。昔は仲が良かったのだろうか。
快斗「すまん、紹介が遅れてたな。北北海道代表、富良野学院高校の一年、瀬棚 快斗です。」
由紀「富良野学院…!」
あの学校の一年生。ということは間違いない。山茶花選手と八幡選手がいる所だ。驚きが隠せない。
直之「久々だな、瀬棚。」
快斗「おお、お前も来ていたのか。」
真希「あ、愛知県代表、名電学園高校の制服だ。」
見たことある顔の男性がこっちに来ていた。間違いない、両投げ投手として活躍している真壁 直之だ。




