第十四話 第二部 電車の中であの人と…
由紀「おお! 合宿以来の新幹線!」
亜弓「あの時、遅れていたよね。ちょっと笑っちゃったよ。」
真希「そんなこともあったわね。」
瞳「ものすごい必死な顔だったの覚えているよ!!」
由紀「やめてよ! 恥ずかしいから!」
私たちは笑いながら新幹線の中へと入っていった。野球部のメンバーは誰も怪我や体調を崩すことなく、万全の状態だった。ここから甲子園まで新幹線、あの場所にはいったいどんな人たちがいるのだろうか。ちょっと楽しみだな。私も女子の高校野球選手で甲子園に出た人の一人になる。そう考えるとちょっと照れる。そして…あの八幡暁美選手や山茶花桜選手にも会えるのかな。
亜弓「あ、上がりです。」
千恵美「なんで負けるの!?」
恵美「表情が顔に出てるからよ。」
千恵美「何よ!!」
三由「まあ…電車の中でトランプ何てね。危機感なさすぎよね。」
美琴「でもいいんじゃない? 最初からガチガチに緊張しすぎずにリラックスできると思うよ。」
由紀「リラックスリラックス!」
たしかにそれもあるかも知れない。緊張を解しておけば本番でガチガチにならずに済む。それならとことんリラックスするべきだろう。
……あれ?
亜弓「ご、ごめん。私トイレ行きたい。」
急にトイレに行きたくなってきた。内心では緊張している証拠なのだろうか。私は椅子から立ち上がってトイレの場所へと移動していった。由紀もついてきた。
亜弓「由紀も? 緊張してるの?」
由紀「私は単に行きたかっただけ。」
そんなことを話しながらトイレを見つけた。二つあったので私たちはそれぞれ出たら目の前で待つという約束で入っていった。
亜弓「ふぅ…。」
由紀「おかえりー。」
由紀が目の前で待っていてくれた。私は手を軽く上げてただいまのあいさつをした。ハンカチで手を拭いていると横からあるものがあった。
「車内販売ですー。」
亜弓「あ、何か買っていく?」
由紀「そうだね!」
私と由紀は自分たちの席とは逆の場所にいる車内販売のお姉さんの所に近づいていった。横には制服姿の人たちが見えた。
亜弓「すみません、このお菓子と飲み物お願いします。」
「230円です。」
私はポケットの中に入れていた財布を取り出してお金を渡した。品物を受け取った私は由紀と位置を交換しようとした。
?「すみません、私にも同じものを。」
一人の女性の声が聞こえてきた。私は目の前を見ると二人の女性が立っていた。でも…どこかで見たことある。何か…。
由紀「……遠江選手!?」




