第十二話 第五十五部 海鳳の不調、私の出番は…。
海鳳「畜生、ファーボールだしちまった。」
友亀「ドンマイドンマイ! ゲッツー狙っていこう!」
友亀はすぐに気持ちを切り替えるように声を出した。それに続いて守備の仲間たちが声を出していった。
亜弓「これ…大丈夫かな。」
本当に心配になってきた。あの海鳳が力のないボールを投げているなんて。絶対何かあるはず…。私も用意しないと…。
バシン! バシン!
ボールツー!
友亀「(なんでだ? こんなに球の勢いってなかったっけ?それにこのコントロールは何が原因なんだ?)」
海鳳は自分で落ち着けと思うようにクローブでボンボンとたたいている。それだけプレッシャーのかかる場面なのだろうか。
海鳳「とにかく投げねえと。こんなところでくたばる俺じゃない!」
シューーー バシン!
バシン!
ボールファ!
青野「っしゃあ!」
富阪「もうけもうけ!!!」
卜部「どうした、落ち着け落ち着け!」
府中「…何か違う? いや、気のせいか?」
やっぱり何かおかしい。これは本当に私の出番がくるかもしれない。こうなったらもう私が出てやる気持ちでやらないと!
亜弓「沖田! 投げていい?」
沖田「ああ、思いっきりこい!」
私はこの球を最後にベンチに戻るつもりで思いっきり投げた。
シュバァアアアア バシューーーン!
沖田「こうぇええよ!!」
よし、準備万端。あとはキャッチボールをしてベンチに戻るだけ。そして監督の指示を待つ!
バシン バシン バシン!
ボールスリー!
恵美「どうしたの海鳳! だらしないわよ!」
海鳳「すみません!!!(やばいやばい、次はストライク入れないと…!)」
シュッ
友亀「(バカッ甘すぎるよ!)」
ギィイイイイイン!! ガサッ
ファールボール!
古木「がぁあああっ! タイミング早すぎた!」
友亀「力いれてこい力!」
萌「あぶないなあもう。」
美和「ハラハラさせるわね。」
海鳳の気持ち的には問題はないはず。でも何かが違う…手?
日下部「日高!」
亜弓「は、はい!」
日下部「ファーボール出したら交代だ。………たのむぞ!」
亜弓「……はいっ!」
海鳳「(思いっきりだ。もうやけくそだ!)」
シュッ!
海鳳「っ!?」
シューーーー バシン!
友亀「ナイスボール!」
古木「きわどいがどうだ…。」
ボールファ!
古木「よっしゃあ!!」
梅岡「満塁だ満塁!」
近沢「最高の場面だ! 打ってこい山下!」
ウグイス嬢「一番、ショート、山下君。」
「うわあああああああ!!!」
会場のボルテージが一気にあがる。この中で私は投げないといけないのか…。
日下部「タイム! 日高!」
亜弓「はい。」
三由「亜弓、大丈夫。自信持って!」
亜弓「わかりました…行ってきます!!!」
ウグイス嬢「松江学園、選手の交代をお知らせいたします。」
由紀「…亜弓。」
ウグイス嬢「ピッチャー、変わりまして…。日高亜弓。」
「うわあああああああああ!!!!!!!」




