第十二話 第五十四部 先頭打者を四球
友亀「最終回! しまっていこう!!」
海鳳「しゃああ!!」
九回の表、先頭バッターは下位打線の七番木村からだ。海鳳のいつもの力を出しておけば抑えられる相手なはず。
木村「しゃああ!!!」
しかしこれは地区大会。負ければ三年生は引退、さらに甲子園がかかった試合となればさらに負けてられない気持ちが出てくる。それが一番怖い。なによりもこういう大会に限って最後の追い上げがものすごい。そのプレッシャーに打ち勝てるほどの度胸もここまでくると必要になってくる。
シューー バシン! ストライクワン!
海鳳「っし。」
友亀「ナイスボール!」
海鳳のコントロールは絶好調だ。決して速いストレートでもなく勢いもあるわけではないけどバッティングと同じぐらいの確実性を持つ球を投げられる。この球を続けていれば問題ない。
沖田「日高! どんどん投げていいぞ!」
亜弓「はいっ!」
バシーン!
バシン ボールワン
バシン ボールツー!
海鳳「(くさいところ見てくるな。ならこの球なら!)」
シュッ! ググググッ ブン! バシン!
ストライクツー!
友亀「追い込んだぞ!」
木村「(くそっ…どうすれば打てるんだ?)」
府中「落ち着いていこう!」
卜部「まず一つとろうぜ!」
私がキャッチボールを続けている間に追い込んでいた。これなら問題なさそうかな。
シューー バシン! ボールスリー!
海鳳「あれ?」
友亀「ん? なんか球の勢いが?」
シューーー バシン!
友亀「おっと!」
木村「よっしゃ! 出たぞ!!」
沖田「えっ!?」
沖田の声と同時に私も驚いた。海鳳がファーボール? 何があったのだろうか。そんな簡単にファーボールになるはずがないのに…。
沖田「日高、準備するんだ! 座るぞ。思いっきりなげろよ。そうじゃないと自分自身の持ち味が出せないからな。」
亜弓「わかった!」
私は少し覚悟を決めてピッチングを始めた。急いで肩をつくって準備をしなければ…!
シュバァアアアア バシーン!!
沖田「うぉおお! こええ!」
佐奈「何今の音。」
真菜「昨日の疲れは無いみたいね。」
よし、いつもどおりの球が投げられている。それなら万全の準備をするためにもっと投げないと!!




