第十二話 第五十部 館川の意地を見せられた
萩「俺の出番か…はたして本当に打てるのだろうか。」
早田「萩! お前ならできる! 最後まであきらめずに戦ってこい!」
近沢「お前に任せたぞ! 打てよ打てよ!」
「萩! 萩!」
萩「みんな…っしゃあ!!」
相手のエースである六番の萩がバッターボックスに入った。館川はこの勢いにのまれないように大きく深呼吸している。それに負けじと館川はピッチャーに目線を向けると、
館川「っしゃあ!!」
大きく叫んでプレートをふんで準備をした。一球一球が勝負球になる重要な一打席勝負になりそうだ。
シューーー バシン!
ストライクワン!
友亀「ナイスボール! よい球が来てるぞ!」
友亀は館川に調子づかせようと声を出している。それを後押しするように守備の人たちも大きな声で応援している。館川はテンポよくセットポジションに入り投げる。
シューーーグンッ バシン!
ボールワン!
スライダーが外れた。でもこれは外すことを前提に投げていたのだろうか。そしてまた受けとるとすぐに投げた。
グググググッ
萩「(これはパームボール!)」
ブン バシン! ストライクツー!
よし、これで追い込んだ。ここを抑えればかなり勝ちに近づくはず。頑張って、館川!
館川「(ここは無駄にさせたくない。だからこそ思いっきり!)」
シューーー
早田「萩!」
萩「らぁあああ!」
ギィイイン! バシン!
池之宮「っしゃあ!」
館川「おっしゃ!」
打球はファーストライナー。やった、これでスリーアウトチェンジになった。八回の守備が終わった。一番怖いと思っていた打順がここで終わった。館川、ナイスピッチング!
府中「ナイスピッチング!」
芦毛「やるじゃねえか!」
館川「ありがとうございます!」
館川はまわりの人たちにハイタッチで迎えてもらえた。館川は嬉しそうに笑いながらベンチへと帰って来た。
亜弓「館川、ナイスピッチング。」
館川「おう、意地をみせてやったぜ。」
私は手のひらを出してハイタッチした。館川は気持ちよさそうに投げていたなあ。




