第十二話 第四十八部 打たれても単打なら
府中「外野、バックだバック!」
府中先輩が後ろを守っている海鳳と由紀に声をかけて後ろに下げた。二人は指示通りに後ろに下がった。バッターは四番、かなり飛ばすし一発がある。それに備えての後ろへの守備位置に変更したのだろう。
友亀「ワンアウト! 一つ一つしっかりいこう!」
館川「(次はあの四番か。こんな良い機会なんてあまりないしな。思いっきりなげて抑えてみせる!」
シュゴオオオ バシン!
ストライクワン!
近沢「(見にくい球を投げるやつだぜちくしょう。)」
相手バッターはサイドスローに戸惑っている様子だった。館川はすぐに構えてテンポよく投じる。
ググググッ バシン
ボールワン!
館川「一つ外に外れたか。」
池之宮「ワンアウトな、このままなら問題なく抑えられそうだぞ。」
早田「先輩! 絶対打てますよ! 俺たちの四番なんですから!」
相手バッターはバッターボックスを外して一回、二回と素振りをした。そしてもう一度バッターボックスに入るとまた雄叫びをあげて大きく構えた。
新天「でかいけどさらにでっかく見えるバッティングフォームだ。」
卜部「内野に飛んできても絶対抑えてやるからな!」
それぞれいろんな思いを持って守っているのだろう。そして皆が大きな声を出している。この声だけでも武器になるだろう。
シュゴオオオ バシン!
ストライクツー!
追い込んだ。友亀のサインにうなづくとまたテンポよく足を上げて投げる。
シューーー
近沢「(とにかく当てろ、当てるんだ!)」
グン ギィイイン!
卜部「うわっ!」
栗山「無理だっ!」
打球はピッチャーの頭上を越えてセンター前へと勢い良く飛んでいった。幸いにも真正面で打球が速かったので単打になった。
館川「打たれたか…。」
友亀「いいよいいよ! ランナー一塁、ワンアウト!」
館川「ワンアウトー! こっから押さえていくからな!」
館川のテンションはまだ落ちていなかった。この調子なら後続を抑えてくれるはずだろう。




