第十二話 第四十四部 流れを断ち切る
館川「先輩、あとは任せてください。この場面確実に抑えて見せます。」
芦毛「ああ、ありがとう。この試合は甲子園にかかってくる重要な試合だ。お前の力を最大限に生かして投げてくれ。」
館川「わかりました。」
芦毛先輩は館川にボールを受け渡してベンチへと戻っていった。スタンドからは大きな拍手が聞こえてきた。
「芦毛! ナイスピッチング!」
芦毛先輩は汗をぬぐいながら歩いてきた。ベンチに戻ると監督が近づいてきた。
日下部「お疲れ様。ここまでよく投げたぞ。あとはゆっくり休んでいてくれ。」
芦毛「ありがとうございます。」
私は芦毛先輩とハイタッチした。そして試合がまた再開される。ツーアウト満塁変わらずにバッターは二番の梅岡。この場面を打破するには館川のピッチングが絶対条件だ。頑張って、館川!
近沢「梅岡! 落ち着いていけば絶対に上手くいくぞ!」
梅岡「しゃあ!」
相手バッターがゆっくりとバッターボックスに入って構える。館川は腕をグルグルと回してセットポジションに入る。そして足をあげて踏み出した。
シュゴオオオオ ズバーン!
ストライクワン!
梅岡「(サイドスロー、それに球もかなり速いな。こいつは厄介だぞ。)」
シュゴーーズバーン! ストライクツー!
梅岡「(そこ入るか!?)」
府中「(いいぞいいぞ、よし。次はパームボールで抑えるんだ。)」
館川は足を高くあげて横から投げる。
梅岡「(変化球か!?)」
シュッ グググググッ
ブン バシーン!!
ストライクバッターアウト!
館川「っしゃあ!」
芦毛「よし!!」
梅岡「パームボール…こんな球も投げてくるのかよ…くそっ!」
相手バッターは完全にタイミングを崩してしまって空振りした。やった、三者残塁になった! これでスリーアウトチェンジ、このピンチを乗り切ることができた!
芦毛「館川ナイスピッチング!」
海鳳「すげえな、まったく動じないその精神力の強さはうらやましいぜ。」
館川「ありがとう。」
府中「よし、このままもう一点取ろう!」
ピッチャーを助けるために皆が一丸となっている。私にもなにかできることがあればいいなあ。




