第四話 第八部 体力、遠投。
私がスポーツドリンクを座って飲んでいると芦毛先輩がゴールした。さすがエースなだけある。私と違うところは、ゴールをしてもすぐに座らないことだ。私がいかに気合で走っていたが分かる。基礎体力の差だ。次にやって来たのは府中先輩だ。キャプテンも基礎体力で負けてない。キャプテンも余裕の表情だ。
驚いたのは次の五番目に来たのが、沖田だった。他の先輩たちでもなく、特待生でもなく、紛れもなく沖田だった。
沖田「ふぅー…。日高早いな。」
沖田は走り終えると歩いて私のところに近づいてきた。
亜弓「いや、私は根性だけで走りきっただけだよ。私、ゴールした後すぐに座り込んじゃったもん。沖田はずっと立ったままでしょ。」
沖田「俺だってけっこう辛いよ。まあもしそう感じるのであれば、基礎体力の問題かな。でも日高だったらすぐ伸びるよ。」
亜弓「ありがとう。ジャグにスポーツドリンク入っているから飲んでいってって、マネージャーたちから。」
沖田「お、せんきゅ。ありがとう。」
一年もすごい人たちばかりだ。この合宿がついていけるか、少々心配になってきた。
その後に卜部先輩がゴールし、栗山先輩、海鳳と続きその後に由紀がゴールした。
由紀「ふぅー、結構坂がきつかったよ。」
そういうと由紀は足を少々ふらつかせながら私のところに来た。
由紀「ちょっとそれもらうよ。」
亜弓「あっ。」
由紀はその場にすわりこんで私のコップをとってスポーツドリンクを飲んだ。
由紀「うまい~、走った後のスポーツドリンクは生き返るよ。」
亜弓「そ、そうだね。でもそれ私の…。」
由紀「え、うん。」
沖田「それ、間接キスになるぞ。」
由紀「なっ!?」
亜弓「だ、だから。」
海鳳「お似合いやな。」
由紀「あわわわ、ごめんごめん! そんなつもりはなかったの! のどか乾いてただけ! ごめん! うわああああああああああああああああ!!」
由紀が全力で逃げていった。まだあんなに体力ありあまっていたのか。うらやましい
日下部「よし、早めに終わった奴はグラウンド入ってすぐキャッチボールをしておけ。遠投を測るぞ。」
遠投、私にとってみればかなり好都合な計測だ。ここでアピールしておけばベンチ入り、スタメンの可能性はドンと上がる。
私は由紀と一緒にキャッチボールを始めていった。始めていくうちに後にゴールしていった人たちがキャッチボールを始めていく。そして早めに始めた私たちが呼ばれる。
日下部「ホームベースからセンターのバックスクリーンまでをつかって測る。二回投げれるから悔いのないように。」
私たち「はい!」
そういうとすぐさま沖田が準備をした。肩に自信があるから一番最初に投げたいのだろう。
沖田が肩をグルグルとまわし、投げる体制に入った。
沖田「ウラッ!」
ビシュッ
沖田は助走をあまりつけずに思い切り投げた。けれども良い角度でボールがどんどん飛んでいく。
ポーン
センターオーバーのヒットとも思えるぐらいの場所まで飛んでいった。記録は…。
深沢「104メートル!!」




