第十二話 第三十七部 真剣勝負の末…。
?「あれって由紀か。相変わらず構えは変わっていないみたね。でも格段にうまくなっている。テレビをつけた価値があったね。」
「来谷里! そろそろ練習だぞ。」
来谷里「えー。しゃあないですね。」
由紀「よっしゃあ!!」
由紀が大きな声を出して構える。由紀からものすごいプレッシャーが感じられる。味方からしてもあの威圧感は尋常でないものを感じる。
佐奈「相手も気づいたみたいだね。」
真菜「それよりはあのバッターの雰囲気がものすごく良いものを感じるわね。センスだけなら世代でも…。」
シュゴオオオ ズバーン!
ボールワン
早田「(くそ、ストライク入れにくいな。変化球も試してみないとな。)」
シューーー グンッ バシン!
ボールツー!
萩「(ちっ、けどまけられねえ!)」
「どうせなら塁にだして次のバッターでしとめればいいのに。なんでここで勝負するのだろう。」
阿湖音「プライドね。負けられないという気持ちがあるから。」
「おお、阿湖音が珍しく普通にしゃべった!」
グググググッ バスン
ボールスリー!!
近沢「攻めろ攻めろ!! どんどん投げてこい!」
芦毛「これは逃げられるか?」
府中「いや、勝負で来るだろう。」
シュゴオオオオ
由紀「ふん!」
ズバーーーン!! ストライクツー!
ゆ、由紀が空振り!? こんなの珍しい。必ず振ったときは当ててきたのに…。由紀も緊張やプレッシャーを感じているのだろうか。
由紀「(かっこ悪いまま終わってたまらないよ。亜弓にかっこいい姿みせたいもの!)」
シュゴオオオ
早田「(やべ、ボール球!)」
ギィン! ガシャン!
ファールボール!!
萩「(助かった。)」
由紀「ファーボールで終わってたまるか。」
早田「勝負ってことか。よっしゃ、気合いれていくぞ!!!」
富坂「っしゃあ! いつでもこい!」
梅岡「しゃあこい!!!」
相手選手が思いっきり気合を入れてきた。それと同じように由紀も大きく深呼吸をした。そして相手の方にバットを向けると。
由紀「しゃあああ!!!」
由紀が大きく叫んだ。由紀ならできる。だって私のことを助けてくれた人だし、あんなに努力を惜しまず最後まで全力で戦い抜いてきた由紀なら…!
亜弓「由紀!! 打って!!!」
萩「らああ!!」
シュゴオオオオオ
ギィイイン!!!
早田「ショート!!」
富坂「らぁああ!!」
ショートの頭上にボールが飛んでいく。抜けて!!
ポーン
「わぁあああああああああ!!!!!」
亜弓「抜けた!!」
府中「セカンドランナーホームに行け!!!」
セカンドランナーの新天がサードベースを踏んでホームに突っ込む。それを見た前進守備のセンターがボールをつかんでバックホームをする。
近沢「らぁあああ!!」
海鳳「新天、外タッチ!」
ボールの返球と共に新天が滑り込む。きわどい!!
ズザザザザザ バシン!
審判「セーフ!!」
新天「っし!!」
やった、やった!! これで勝ち越した! 4対6で二点勝ち越しだ!!
由紀「やった…やったやった!! ったあああああ!!!!!」
由紀がファーストベース上で大きく右手を突き上げて声を上げた。スタンドもその声と同時に大きく声を上げた。
亜弓「由紀!! ナイスバッティング!!」
私は由紀に大きな声で叫んだ。私と由紀の目にはうっすらと涙が見えていた。
今回はリン☆ユウさんに描いていただきました!ありがとうございます!
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