第十二話 第三十六部 最高の場面
早田「タイムお願いします。」
審判「タイム!」
キャッチャーがタイムの指示を出して内野陣をマウンドにあつめさせている。由紀はその様子を見ながら素振りをしていた。
萩「すません。俺のせいで点をとられて同点にされてしまって。」
富坂「大丈夫だ、何があっても俺たちが点を取り返してやるって。」
梅岡「俺たち三年生だけどいまは自分のためだけに投げてみ。」
山下「そうだ。俺たちのためになんて今は忘れておけ。」
古木「すべてぶつけて思いっきりやってこい。いままでそうやって後半最高のピッチングをみせてくれたじゃないか。」
早田「相手はほぼ8割を超えた打者だが臆することはねえ。俺たちは一度アウトとっているんだ。アイツの弱点だってわかっている。だからこそできることだろ! お前しかできないんだよ!」
萩「…わかった。なんとしても俺が抑えてみせる!」
富坂「その意気だ! しゃあみんないくぞ!!!!」
「しゃああああ!!!」
マウンドで内野の人たちが声をあげて気合をいれる。それと同時に相手のスタンドから大きな拍手と声援が返ってくる。どちらにとっても負けられないこの一打席になりそうだ。でも由紀なら勝ってくれる!
由紀「お願いします!」
由紀が左バッターボックスに入った。そして大きくスタンスを広げて構える。特に構えに関しては自分のやり方を貫き通す感じだ。相手の守備もそれ相応に前進守備を整えている。
萩「(俺が…俺が甲子園で最高のピッチングを見せるんだ! だからここでなんか負けられないんだよ!!)」
シュゴオオオオオオ ズバーーン!
ストライクワン!!
由紀「(さっきより速いし威力もある。)ふぅ…。っしゃあ!!!」
由紀はもう一度気合をいれて大きく構える。最大のチャンス、狙うべきはここだ。




