第十二話 第三十四部 同点で終わらせたくない!
芦毛「よっしゃ、よっしゃ!」
芦毛先輩と栗山先輩がホームベースを踏んだ後に府中先輩が戻ってくるのを待っていた。府中先輩はホームベースを踏むと両手を突き上げて大きな声で叫んだ。目には涙が見えていた。芦毛先輩と栗山先輩はハイタッチを要求していた。
栗山「ナイスバッティングです!」
府中「ありがとう。」
芦毛「本当にすげえや。府中、お前はすげぇよ。」
「府中! 府中!」
スタンドから府中コールが巻き起こっている。これで4対4、同点にまで追いついた。これで振り出しにもどっていく。今は六回、この流れのまま勝ち越しまでしていきたい!!
海鳳「よっしゃ、俺たちも意地見せてやろうぜ。」
池之宮「当たり前だ。」
新天「俺だってやってみせる。」
ワンアウトのまま三番の海鳳がバッターボックスに入る。一点とれば勝ち越し、でも相手だって必死に戦ってくるはず。負けられないのはどちらも同じだ。
海鳳「恵美先輩見ていてください!! めっちゃ綺麗なヒット打ちますから!!」
恵美「うっさい! 試合に集中しろ!!」
千恵美「いいねぇいいねぇ。」
二人のやり取りが面白おかしく繰り広げられている。海鳳にとってみればこれも一種のリラックス法なのだろうか。しかし言われている恵美先輩にとってみれば迷惑なのではないだろうか。
萩「なんで打たれたんだ? 最高のコースだったじゃねえか。」
シュゴオオオオ
早田「(甘い! 打たれる!)」
ギィイイイン
海鳳「っしゃあ!」
打球は一二塁間を抜けてライト前ヒットになった。スタンドの応援と歓声はどんどんと大きくなっていく。
レナ「完全に流れがもっていかれたね。」
可奈「そうともいえないよ。」
真菜「守っている三年生は気持ち的に負けていないな。」
佐奈「あとは投手がいつ気づくかだね。」
次は四番の池之宮、長打力のある池之宮なら一発逆転が狙えるかもしれない。最高の場面だからこそ狙えるはず!
深沢「さっきの打席で感覚はつかんだか?」
新天「はい。次は絶対に打てます。」
コツン
萩「うそん!」
新天「池之宮がバント!?」
まさかの池之宮がバント、まさかの展開に球場内がざわつく。ボールを処理したピッチャーはすぐさまファーストに投げた。
バシン アウト!!
「池之宮がバントだと…?」
「次は新天だろ? 確実に一点を取りに来たって言えばいいのか?」
池之宮「新天、思いっきりぶつけてこい。」
新天「わかった。お前のバントは無駄にしないぜ。」
池之宮と新天がハイタッチして新天がバッターボックスへと歩いていった。ここが大きな山場だ。もしヒットを打てば次は由紀にも回ってくる。一点、必ず取りにいきたい!




