第十二話 第三十二部 栗山先輩の意地
栗山先輩がバッターボックスに入って構える。自信に満ち溢れた顔になってきている。あの声をかけたのは正解だったようだ。あとは私たちが信じるだけ。
シュゴオオオオ ズバーン
ボールワン!
早田「(見てきたかランナーは投手、走る様子はまったく見せないな。バッター集中でいこう!)」
萩「(そのつもりさ!)」
グググッ ブン バシーン!
ストライクワン!
府中「いいぞ、振れてる振れてる!」
近沢「(空振りしてほめるのか…。)」
栗山先輩はもう一度大きく構えるようにみせて構える。相手投手もかなり集中して打者を見ている。そしてクイックモーションで投げる。
シューーー
栗山「(いけっ! 振りぬけ!)」
グンッ ギィイイン!
芦毛「っしゃ!」
打球はファーストとセカンドの間を抜けてライト前へと転がっていった。やった、栗山先輩がヒットで続いた! 芦毛先輩はセカンドベースで止まっていた。これでノーアウト一二塁、チャンスが大きく広がった
栗山「っしゃあ!」
深沢「ナイスバッティングだ!」
日下部「スライダーに引っ掛けられそうになっても振りぬいたおかげでしっかりとした打撃ができた。」
海鳳「かっけえ!」
スタンドが大きな声で栗山先輩のヒットを喜んでいた。そして次は一番にもどって卜部先輩。ここは卜部先輩にまず一点決めて…。
日下部「(ここは確実にな。)」
卜部「(わかっています。)」
シュゴオオオオ コツン
萩「俺が捕る! 送球は!」
早田「サード間に合わない、ファースト!」
卜部先輩がバント!? そしてピッチャーはファーストへと送球した。
バシン、アウト!
ファーストはアウトになってワンアウトでランナーが二三塁。絶好のチャンスというところで府中先輩の打順が回ってきた。




