第十二話 第二十一部 逆転されて焦り
近沢「よし!」
バッターがホームベースを踏んで四番バッターがガッツポーズを取る。これで2対1と逆転されてしまった。しかもホームランで打たれるとはかなり精神的にはダメージが大きい。でもまだ序盤、私たちの打力があれば逆転できる。あとは芦毛先輩が後続をしっかりと抑えていけばよいだけだから…。
府中「ツーアウトだツーアウト! 一つずつ抑えていけば大丈夫だ。」
芦毛「ふぅ…おちつけ、点を取られたってたった一点差。自分の腕にはまだ余力があるから問題ない。」
ツーアウトでバッターは五番の早田。キャッチャーながら五番にいるということはかなりの打力があって期待されているからだろう。注意して抑えていかなければ。
シュルルルル バシン! ボールワン!
新天「大丈夫です、落ち着いていきましょう。」
芦毛「(そうとはいってもさっき打たれたのはホームランあれじゃあ守備がいくら良くても守れねえ。だから思いっきり抑えるしかないんだよ!)」
芦毛先輩があせっている。大丈夫なのだろうか。
シュッ
府中「(甘い球、やばい!)」
早田「(これなら!)」
ギィイイイン!
快音残して打球は右中間へと飛んでいった。ボールは落ちて点々と転がっていく。バッターランナーはファーストベースを蹴って二塁へと向かっていく。
海鳳「中山先輩! ダイレクトでセカンドへ!」
中山「らああああ!!」
ライトから好返球がかえってくる。これなら刺せそうか?
審判「セーフ!!」
早田「よっしゃあ!」
萩「いいねえ! ナイスランだ!」
またヒットを打たれた。けど芦毛先輩があせって抜けたボールを捕らえられた感じだ。まだ望みはあるけれどもこのままの調子で進んでいってしまうと…。
府中「(声かけるべきか。いや、あいつの性格を考えれば今いくとさらに荒れる。ならこのバッターを抑えてからか、もう一点取られてからの方が良いか。頼むぞ芦毛、お前の気持ちが頼りだ。)」
芦毛先輩はいちど足場を慣らして落ち着こうとしている。そして次は六番ピッチャーの萩だ。さっきは空振り三振に抑えたけれども今回の状況で抑えることができるだろうか。私からみればまた力んでいれば抑えられる気がする。でも芦毛先輩のあせりも隠せないはず。…どこまでいけるか。
芦毛「(どうもこうもおかしいぜ! なんでこんなに打たれるんだよ!)」
府中「(早い! 落ち着け芦毛!)」
シュッ
萩「よし!」
ギィイイイイイイン!!!




