第十二話 第二十部 四番の力強さ
早田「近沢先輩! ホームラン頼みます!」
近沢「おうよ!」
近沢がバッターボックスに入る。大きな体をのびのびと見せて構える。かなりリラックスしている様子だ。甘い球を投げてしまったら簡単にもっていかれそうだ。集中してなげてください!
芦毛「(スクリューでもカーブでもなんてもいいぜ。)」
府中「(狙うべきは低めだ。高めは簡単に持っていかれるから気をつけろ。)」
芦毛先輩がサインにうなづいてセットポジションに入る。
シュッ シュゴオオオ バシーン
ストライクワン!
低めに良いストレートが決まった。ランナーはそこまで足が速いタイプではないはずだから落ち着いていけば簡単にチェンジにできるはず。
シュゴオオ バシーン! ボールワン!
卜部「力みすぎだぞー。」
栗山「後ろは任せろよー。」
二遊間の二人が声をかけている。府中先輩も全体に指示を出してしっかり守るように言っている。みんなの守りがあれば点は取られない!
シュルルルルル ギィン!
ファールボール!
近沢「っぶねえ。」
府中「(当ててくるか…。なら低めのストレートで!)」
シュッ!! シュゴオオオ
勢いの良いストレートが低めに飛んでいく。
近沢「(低めばかりに投げていると打たれるぜ!)」
ギィイイイイイン!!!
芦毛「なっ!?」
府中「センター! レフト!」
中山「なんだよ、ここまで飛ばしてくるのかよ!」
海鳳「先輩! フェンスのぼって!!!」
中山先輩がフェンスに足をかけて上ろうとしてきた。しかし打球はそのはるか上へと飛んでいく。
ポーン
近沢「っしゃあああ!!」
萩「よっしゃ逆転!!!」
阿湖音「すごい…さすが四番!!!」
簡単にホームランを打たれてしまった。あんなに良い球なのにあのスイングで無理やりに…。なんというパワーの持ち主なんだろうか。




