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ドクターK少女  作者: レザレナ
第四話 合宿
37/835

第四話 第五部 マラソンバトル!

 それから一時間後ぐらいだろうか…。

府中「ついたぞ! 寝てるやつは起きろ!」

真希「亜弓、ついたよ。」

亜弓「うぁ…?」

 どうやら私は途中で寝てしまったようだ。バスの外を見ると、山々に囲まれた球場が見えてきた。私は大きく背中を伸ばした。横を見ると由紀まで寝ていた。私は肩をトントンとたたいて起こした。

由紀「ん…、もうついたのかな? あ、亜弓。んー、おはよう。」

 由紀も大きく背中を伸ばした。

由紀「よっしゃ…頑張ろう!」

 私たちがバスから降りると先輩たちが準備運動を始めていた。もう何か始まるのだろうか?

日下部「皆準備しておけ。これからここの周りの道路を走ってもらう。一周だけだが、3キロはある。最初にランニングもしておきな。」

 なんと、いきなりマラソンが始まるらしい。いきなりは大変だ。長距離は苦手なほうではない。むしろ得意と言ったほうがよいのだろうか。

亜弓「由紀って長距離走るのってどうなの?」

 私はストレッチをしながら由紀に聞いてみた。

由紀「私はまぁまぁかな。女子とやったらかなり良い方だけど。亜弓はすごくスタミナありそうだね。根性もすごいし。」

亜弓「いやいや。…あれ? 向こうにいるのって瞳じゃない?」

 私は瞳のことを指差した。瞳は長袖の運動着を着て準備体操をしていた。まさか…走るのだろうか。

瞳「あ、私も走ることにしたんだ。お父さんに練習しておけって言われたから。」

由紀「監督には許可もらったの?」

瞳「うん、大丈夫だって。」

 瞳が軽い足取りでアップをしている。いかにも身軽そうで体力あふれるような動きだ。もし瞳も野球をやっていたなら…。すごい人になっていたかもしれない。今も柔道ですごいけれども。

真希「さすがに私は走らないよ。」

亜弓「そうだよね。美術部もやってるから絵とか描くの?」

真希「うん、この風景を描こうかなって思ってるよ。」

 そういって真希は画用紙を取り出した。これは…本格的だ。

府中「皆準備できたか。」

 周りの人たちも準備ができたようだ。ここから3キロ走る。それもただの3キロではなく高低差の激しい道のりが続くらしいので、相当疲れるだろう。

深沢「マネージャーたちは水分補給用のジャグを用意しておいて。中身は昨日箱で買ったスポーツドリンクとクーラーボックスに入っている大きな氷を入れて。真希も準備ができてから絵を描いてくれ。」

 深沢コーチがマネージャーたちに指示をする。マネージャーの顧問もいるらしいが、諸事情によって明日からの参加らしい。

 皆が整列を終えたとき、日下部監督が近づいてきた。

日下部「これから始めるマラソンもそうだが、体力測定とベンチ入りもかねている大事なテストだからな。気を引き締めていけよ。」

皆「はい!」

 日下部監督はホイッスルを片手に持ち始めた。

日下部「よーい!!」

 ピーーーーーッ!!

 私たち部員、総勢81人はいっせいにスタートした。ハイペースで飛ばしていく人もいれば、体力温存を考え、後半にスパートをかけるためスローペースで進んでいく人もいる。私と由紀は前の先頭集団についていくことにした。後ろにいて、疲れてしまっては追いつけないからだ。芦毛先輩や府中先輩、海鳳、新天、友亀とかも同じような考えなのだろうか、先頭集団についてきた。その中で先頭にたっているのが……。なんと瞳だった。

府中「はやっ。」

 府中先輩が思わず声を出すぐらい早いらしい。私たちをおいてどんどん先に進んでいく。しかしあのペースは速すぎなのではないかという不安が出てきた。しかし、そんなことはすぐ切り裂かれるように消えていった。前に聞いたことを思い出した。「柔道で全国優勝」。それを思い出して私はすぐにペースを上げて二番手にたった。もしこれで瞳に追いつくことができたら、私はそれだけの体力を持っているって証拠になる。いい目安だ。由紀は追ってこないが府中先輩が私のことを追いかけてきた。負けられない。せっかく野球部でレギュラーを狙おうと考えてたところに、この測定がベンチ入り又レギュラー入りの確立が上がる試験だとすれば、こんなにおいしいことは無い。私は負けられない。そう思って全力で走り続けた。今思えば昔はネガティブ志向だったのが、今ではこんなに強気になれている。まだ怖がってしまうところもあるが、自分は少しずつ変わってきてるのだと思う。そう考えると由紀にはすごく大きな貸しを作ったことになる。その借りを返すために私はレギュラーになってみせる。

 少し進んでいくと大きな坂が見えてきた。ここからが正念場だろう。体力と気合、根性が試されるところだ。先頭にはすぐにでもとらえられる距離に瞳がいる。ここで追い抜けば…。

 タッタッタッタッタッ……

亜弓「うわっ。」

 私は思わず声を上げてしまった。瞳がグイグイと坂を上っていく。それも信じられない速さで上っていくのだ。


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