第十二話 第九部 相手のファインプレー
海鳳「しゃあ!」
早田「センターバックです!」
近沢「まかせろ!」
打球はセンター後方へとちから強く飛んでいく。それをセンターがダッシュで追いかける。これは取れるか取れないかのギリギリだ。お願い、抜けて!
バシン!ズザザザ
近沢「よっしゃ!」
アウトー!
海鳳「やられたか。」
富坂「ナイスセンター!」
萩「さすがっす!!」
近沢「お前は打たれないようにどうにかしろよ。最初からあわてすぎだ。」
センターの好プレイでアウトになってしまった。これには運が悪いとしか言いようがない。そうなら守備に気持ちを切り替えていかなければいけない。次の回も0点に抑えれば良いことだ。
恵美「海鳳! しけたバッティングしてんじゃないわよ!」
海鳳「すみません!! 次こそ絶対打ちます!」
千恵美「恵美、あんたら付き合うことになったの?」
恵美「ないわよ! 勝つためにはアレを言ったほうが打ってくれるでしょ!」
千恵美「へー、ふーん、ほー。」
恵美「試合終わったらリアルファイトね。」
千恵美「私は勉強で決着をつけたいね。」
海鳳は凡退しても元気なままだ。そして恵美先輩のおかげでムードが戻った。さて、この後はどうなるのだろうか。二回の表の攻撃は四番の近沢から。あのファインプレーを見せてくれた選手だ。
富坂「(いいか、レフトは気をつけろよ。あれは只者じゃない。)」
近沢「(レフトか…あの足に守備のうまさは本当に天才だな。しかし配球の組み立て方はレフトに行くようにするだろう。なら…無理にでも流す!)」
シューーー バシン!
ボールワン!
府中「リラックス! 大丈夫だよ。」
芦毛先輩は少し力んだ様子を見せていたが、府中先輩の声ですぐにリラックスし始めた。府中先輩はキャッチャーはリードだけが全てではないことを教えてくれる、模範的なキャッチャーだ。
新天「ピッチャー頼みます!」
シュッ
近沢「(これはスクリューか!)」
シュルルルル ギィイイン!
府中「セカン!」
卜部「らっ!」
卜部先輩がライト方面へと向かう強い打球に飛びつく。
ズザザザ
萩「よし、抜けた!!」




