第四話 第四部 彼氏×彼女=年齢
午前八時、名古屋に到着して私たちは休憩し始めた。
由紀「さあ、ここからバスだね。」
亜弓「もう一時間ちょっとだね。」
そんなことを話しながらソフトクリームを食べた。冷たくておいしい。バスまであまり時間はないけれど、短い時間で小休憩ができてよかった。
府中「よし、バス乗るぞ。準備しろ。」
芦毛「日高、羽葉、アイスを食べおえてからバスに乗ってな。」
芦毛先輩がほかの人を誘導しながら言った。バスの中でアイスをたらしたりしてしまったら大変だ。私と由紀は残りのコーンと一緒に口に放り込んだ。
真希「亜弓、由紀、口にアイスクリーム残っているよ。」
私と由紀が口を手で拭うと白いクリームがついていた。私はティッシュで口と手を拭いたが、由紀はそのクリームでさえなめてしまった。
瞳「拭かないで舐めるの!?」
由紀「なんかもったいなくて。」
真希「それ、あまり変わらない気がするよ。」
そんなことを言いながら席に座り、バスが出発した。天気は晴天、絶好の練習日和だ。これから合宿が始まるという実感がわいてきた。
私は時々外の景色を眺めていた。車が進んでいくにつれて、景色がだんだんと田舎になってくる。遠くを見ると山々がたくさん見えてくる。もうそろそろ現地に到着するのだろうか。
三由「そういえば気になったのだけど。」
三由先輩が私たちに問いかけてきた。
三由「あなたたちは彼氏いるの?」
亜弓「なっ!?」
私たちは突然の発言に唖然とした。
由紀「な、な、何言っているんですか先輩は! できるわけないじゃないですか!!」
由紀にいたっては赤面しながら大声で恥ずかしがった。
亜弓「わ、私だっていませんよ。」
瞳「私は恋愛は分からなくて。」
真希「好きになる要素を持った男性がいません。」
瞳は恋愛が分からない、真希にいたっては男性の心を傷つけるような発言をした。たしかに私も好きになった人なんていなかった。由紀は…恋愛ができなさそうなタイプだ。
三由「じゃあ、彼氏がいたときってある?」
亜弓・由紀・真希・瞳「ありません!」
全員即答だった。あまりにもぴったりだったので、私たちは笑ってしまった。
真希「私たちからも質問なんですが、先輩たちは付き合ったこととかって、ありますか?」
真希が先輩たちに質問した。
千恵美「私もいないわ。いい男がいないもの。」
恵美「つりあうような人がいないもの。」
千恵美「何同じようなこと言ってるの?」
恵美「似てるだけであって言葉は違うわ。」
美琴「私もないよ。好きな人ができたら付き合いたいけどね。」
どうやら先輩たちもいないようだ。そして最後は…。
三由「皆進展無しか~。」
美琴「そういう三由はどうなのさ。」
私たちの視線が三由先輩に集まる。
三由「私は男と男が戯れてるところか、女と女が戯れているところがいいな。うへ、ぐへへへへ。」
………………。
聞かなかったことにしよう。
三由「はぁ…。」
私たちが何にも反応しなかったのを察したのか、席から立ち上がった。誤るのだろうか。
三由「ねぇ、男子たち。」
三由は前に座っている男子たちに声をかけた。全く持って察してなかったようだ。…まって、これってまさか…。
三由「彼女いる人、もしくは彼女がいたことがある人は挙手して。」
やってしまった。なんという人なんだこの先輩は。私たちは少々気になって男子たちが座っている方を向いた。
男子たち「…………。」
だ、誰も挙手しない。何なんだこの空気は。
真希「ど、どうするのですか先輩。この空気まずいですよ。」
真希が先輩に心配そうに尋ねた。先輩の顔を見ると。
三由「…………。」
ものすごい険しい顔をしていた。何か、この世の終わりでも見ているかのような…。
日下部「俺は結婚してるぞ。」
そういって日下部監督が手を上げた。
深沢「俺も結婚している。」
深沢コーチまで答えた。
運転手「あ、ちなみに私も結婚はしております。」
運転手まで。これはもう男子たちにとってはたまらない追撃だったようだ。
男子「ぐわああああああああああ!!!」
男子たちは頭を抱えて悲しんでいた。それもそうだ、これだけ誰もいないと辛いものである。私も男子だったら同じような感じだったのだろう…。




