第十二話 第七部 相手の立ち上がりも
芦毛「ナイスキャッチ!」
由紀「えへへ! やりました!」
由紀が笑顔でチームメイトに迎えられている。由紀は何をしていてもムードが良くなるなぁ。
府中「さて、あのピッチャーを打ち崩すために作戦考えるか。」
バシーーン!!
早田「ナイスボール!!!」
萩「(俺だって良い立ち上がりを見せてやる!)」
さすが決勝まで投げきっただけの実力はある。スリークォーターの投球フォームから140キロ台のストレート、スライダーにパームを持っていて、今年、落ちるカーブを取得している。来年のドラフト候補にもなっている。でも…攻めるならまず最初だ。あきらかに立ち上がり1・2回までは確実に点が取られている。それまでに点を取らないと波に乗られてしまう。なら最初に大量得点をとっていきたい!
ウグイス嬢「一番、セカンド、卜部くん。」
卜部「しゃあっす!」
卜部先輩がバッターボックスに入った。この初回の立ち上がりはどんな投球を見せてくれるのだろうか。
シュッ
卜部先輩がセーフティーの構えをする。
シュゴオオオ バシーン!
ストライクワン!
卜部「(序盤なのにいい球投げるじゃないか。)」
卜部先輩はバットを引いてボールを見た。ビデオで見ていた球よりいい球がきている。相手も絶好調らしい。ここにきて調子のピークを迎えるとは…厳しい相手になりそう。
シュッ ググググッ
バシーン!
ボールワン!
キレのあるスライダーが外に外れた。卜部先輩もなんとか踏みとどまって抑えた様子だった。
シュッ
卜部「ちっ。」
ググググッ ギィン!!
たてに落ちるカーブに手を出してしまって弱いサードゴロ。いくら足が速くてもこれは間に合わなさそうだ。
バシン! アウトー!!




