第十二話 第六部 上々の立ち上がり
次は二番の梅岡。今大会ではバントがめちゃくちゃうまいという評判で有名だ。しかし今はランナーなし。バッティングとしてはどうなのだろうか。
梅岡「(絶好調で芦毛か。攻めるのは難しそうだな。しかしボールさえしっかり見れば!)」
シュゴオオオ ギィン! ガシャン!
ファールボール!
府中「(初球から当ててくるか。)」
さすがは決勝で戦う相手なだけある。だれもが打てるバッターで、そして点がどこでもとれる。これ以上に怖いものはない。だけど、こっちも絶好調の芦毛先輩がいればそう簡単に点が入ることはない。
シュゴオオ バシーン!
ストライクツー!
梅岡「(アレはいるか!?)」
府中「(よし、これは大きい!)」
追い込んだ。一球一球手に汗握る試合になっている。始まったばかりだというのに…なんて大きなプレッシャーなのだろうか。
シュルルル ブシィ バシーン!
ストライクバッターアウト!
梅岡「ちっ。」
芦毛「っしゃあ!」
スクリューで空振り三振をとった。二番バッターを抑えてボールが内野に回される。そしてピッチャーにいきわたると味方スタンドから大きな拍手がおこる。そして次のバッターが左打席に入った。けっこう身長が高い。あれは…三番の富坂だ。
富坂「お前が二番だってな。そんなに下の奴らはすごいのか。」
府中「まあ俺がいられないぐらいな。」
富坂「そうかい…。なら俺も一発入れてみるか。」
府中「できるならな。」
バッターは楽しそうに構えている。決勝で試合ができることがとても嬉しいのだろう。そしてキャッチャーの府中先輩も楽しんでいる。…何かあったのだろうか。
芦毛「(お前が一緒のチームだったらな。でも…敵なら敵で倒しがいがある!!)」
シュルルル
富坂「(お得意のスクリューか!)」
ギィイイン!
いきなり当ててきた! でも打球はサードとレフト方面へのかなり強い当たりのファールボールになりそうだ。
由紀「よっしゃあ!!」
府中「いけるか!?」
由紀が猛ダッシュでボールの落下点へと走っていく。いつのまにそこに!? 初めからわかっていて守備位置を取っていたのか? それとも反応の速さと足の速さがあるからか?
ダッ
バシン! ズザザザザ 飛びつくと同時にグローブにボールがおさまっている。落としていないだろうか。
由紀「イェーイ!!」
アウトーー!!
亜弓「ナイスプレー!!!」
とっていた。すぐさま左手を上げてアピールしていた。それも笑顔で。もっと大きなプレイが出てきた。これならこのまま波にのって点を取ってくれるだろう。




