第十一話 第四十一部 意地と根性
真田「理嗚!! 絶対打てよ!」
理嗚「はい、意地でも打ってみせます!」
次の相手バッターはあのキャッチャー、但馬理嗚だ。このバッターだけは他のバッターとは全くもって違うタイプ。風格があるというか、不思議な感じがする。でも…今ならまだストレートで抑えられるかもしれない。弱気になるな私、強気で攻めて抑えてみせる!!
シュゴオオオ バシーーン! ボールワン!
初球は高めに浮きすぎてボール球。それにしても冷静にボールを見てくる。次は内角に…!
シュゴオオオ ブン! バシーーン!
ストライクワン!
タイミングはピッタリ。上手く当てられたらヒットになるかもしれない。けれどこのストレートのノビならまだフライにできる。さっき当てられただけでダメだと思ったらダメだ。友亀が構えているミットに向かって投げれば!
シュッ
佐奈「あ。」
真菜「ど真ん中。」
理嗚「(こいつだ!!)」
ギィイン!!!
私が投げたボールは私の頭上を超えてセンター前へと運ばれていった。完全にど真ん中にいってしまった。前までの投球だったらあのコースに投げていたらもう少し高めに浮いていたはず。でも…ここにきてノビが怪しくなってきた。やはり疲れは来ていた。
理嗚「よっしゃあ!!」
流れが向こうに変わりかかっている。このままではまずい。何か手を打たなければ…でも、今信じることが出来るのは私自身のこの右腕しかない。チームで戦っていてもマウンドでは孤独。後ろにみんなの支えがあるからそれに頼るのも一つの手。それに…この仲間となら怖いものなんてなくなる!
レナ「さっきより気合はいっていル。」
可奈「さすがだね。」
「ガンバレー!! 日高!!!」
スタンドから精一杯の応援が聞こえてくる。この声援にもこたえてあげなければ。私の右腕が頼りだ!
シュゴオオオ ブン! バシーーン!
ストライクワン!
谷川「(なんでここに来て球が勢いづくんだよ!)」
友亀「よっしゃあ! このまま一気にこい!」
由紀「頑張って! 亜弓!」
シュゴオオオ バシューーーン!
ストライクツー!!
無我夢中で投げている。打たれたってこんなに投げるのが楽しいと思えることが本当に嬉しい。こんなチームと一緒に戦いたかった!!
シュゴオオオ バシューーーン!!
ストライクバッターアウト!!
亜弓「っしゃあああ!!」
由紀「ナイスピッチ!!」
私はグローブを強くバンッと叩いてベンチへ戻っていった。これでやっと練習の成果が出たと実感できた。




