第十一話 第三十六部 バットを短く持つ作戦
ここまで十七奪三振。少し体力の不安はあるけれども疲れというものは感じていない。そう感じられるようになったということは成長した証なのだろうか。なら…実際に成長しているのかを知るためには投げるしかない!
前田「(俺からか…あいつを攻略するためには…上位打線の俺たちがなんとかしなければ!)」
バッターボックスに二番の前田が入った。そして友亀からのサインは相変わらずストレート。よし、ストレートでまた三振を取って…!
シュゴオオオ ブン!バシーン!
ストライクワン!!
タイミングは初球から合わせてきた。でもまだボールとバットとの差が大きい。この差を埋められないように…低めに!
シュゴオオオ ズバーーン! ボールワン!
友亀「いいよいいよ、おしいよ!!」
たしかにコントロールは初回と比べたら少しばらついている。でもそのばらつきもミット一個分まで揃えられるようになった。
シュバアアア ブン!バシューン!
ストライクツー!!
前田「(ちっ、当たらない。)」
追い込んだ。また三振が取れる。それなら…思いっきりなげて三振に!
シュバアアア
友亀「(ど真ん中!)」
前田「(これしかない!)」
ブシィ! バシーン! ストライクバッターアウト!
亜弓「っし!」
友亀「と、捕れてよかったぁ…。」
一瞬自分もヒヤッとしたけれどもストレートが伸びてくれたおかげで三振を取ることができた。これで十八奪三振。あと二つで二十奪三振!
岸柳「大丈夫、俺が打つ。」
バッターボックスには三番の岸柳が入った。バットを異常に短く持っている。ボールを当てられればスタミナを削れる作戦なのだろうか。でも…今は思いっきり投げるしかない!
シュゴオオオ ギィン! ガシャン!
ファールボール!
あてにいった打ち方だったけれどもボールを捕らえられていた。ちょっと悔しい気もするけれど…それなら絶対に普通にヒットは打たれない!
シュバァアアア ギン! ファールボール!!
また当ててきた。この場合どうやって抑えれば良いのだろうか。力でねじ伏せる? それとも変化球でタイミングを外す? 私にはわからない。ならサインを見て考えなければ。
友亀「(カットボールだ。)」
サインは変化球。でも早い変化球だ。それなら…相手がもしストレートと同じようにタイミングをとっていたら抑えられる!
シュゴオオオ
岸柳「(ここからあてにいく勝負だ!)」
グン ブン バシーーン!
ストライクバッターアウト!!!




