第十一話 第三十四部 気合の入った投球
シュゴオオ ブン!バシーーン!
ストライクツー!
さっきまで見ていた真田投手とは全く違っていた。気合の入った闘志みなぎる投球だった。一体何があったというのだろうか。
芦毛「一年はわからないと思うが真田投手は一年前は気合を表に出すタイプの投手だったんだ。だけど気合を入れたせいで自滅し、去年はベスト8で負けている。せっかくの才能を感情で無駄にしちまってるんだ。だけど今回それが武器になって俺たちに襲い掛かってきた。こいつはきびしいぜ。」
ブシィ!バシーーン!
ストライクバッターアウト!
卜部「まじかよ。」
卜部先輩が三振にとられた。しかも振り遅れの空振り三振。一体あの選手の身に何がおこったのだろうか。
府中「球筋はどんな感じだ?」
卜部「衰えてない。むしろ良くなってきてるぜ。」
今度は府中先輩がバッターボックスに入った。真剣な表情でピッチャーを見つめている。一筋縄ではいかない状況になってしまったのか。
理嗚「(思いっきりです!)」
真田投手が腕を大きくあげ、フォームを大きくして投げる。
真田「らあ!」
シュゴオオオ
ギィン! ガシャン!
ファールボール!
府中先輩でさえ遅れている。一体何キロ出しているのだろうか。私はスコアボードの球速表示を見た。
148キロ
プロでもなかなか速い球を投げているのか、あのピッチャーは。そしてあの高さからの投球。あれはかなり打つのが厳しい。
シュゴオオオ バシーーン!
ボールワン!
理嗚「(さすがに振ってはくれないか。)」
体がピクッと動きながらも止めている。ストライクかボールかの見極めすら難しくなってきているのだろうか。一体何が起こっているのだろうか。
シュゴオオオオ ギィン!
府中「ちっ。」
打球はファーストへのボテボテゴロ。ファーストはきっちりと捕球してベースを踏む。
アウトー!
府中先輩までアウトになってしまった。これでツーアウト。そしてここで海鳳にまわった。海鳳はこの状態のピッチャーを撃ち砕くことができるのだろうか。




