第十一話 第三十部 マウンドへ
由紀「いえーい亜弓! ナイスバント!」
そういって由紀はハイタッチを待っていた。それに答えるように私もハイタッチして、いえーい! と声を上げた。
亜弓「ありがとう由紀ちゃん!」
由紀「ちゃ、ちゃんは止めてってばぁああああ!!!」
亜弓「ご、ごめん由紀!!」
由紀「もう……恥ずかしいじゃないか…。」
しかしこの表情、やっぱりかわいいよぉ…。おっと、口に出してはいけない。心の中だけの言葉にしておこう。でも…これで勝ち越しが出来た。それも私が決めたって考えるとすごく気持ちが楽になってくる。よし、あとは投球で見せるだけ! 抑えてみせる!
理嗚「すみません、あそこは外すべきでした…。」
真田「…問題ない。早く投げて終わらせるぞ。」
理嗚「はい。(先輩が…焦っている?)」
キャッチャーが座ってプレーが再開された。バッターは八番の友亀。でもこの場面でつなげられたらなんと最高だろうか。
シュゴオオオオ
理嗚「(甘い!?)」
友亀「!」
ギィイン!!
沖田「どうだ!? ファーストとセカンドの後ろ間!」
米倉「落ちろ!!」
打球はふわっと上がってライトとファーストセカンドの間に飛んでいく。面白い当たりだ。
前田「俺が飛びつく!」
ファーストが勢い良く走って飛びついた。届くのか!?
ポーン! フェア!!
伊沢「落ちた!!!」
打球はファーストのグラブより数十センチ先で落ちた。その後の打球はライトが捕球した。やった、友亀も続いてツーアウト一塁になった!
友亀「よっしゃ!」
そしてバッターボックスに栗山先輩が向かっていく。これなら心配なさそうかもしれない。
理嗚「タイムお願いします。」
審判「タイム!!」
キャッチャーが主審にタイムをかけて内野をマウンドまで呼んでいった。作戦会議をするのだろうか。でも…ピッチャーの表情がさっきよりも変わってるから…落ち着かせる雰囲気だろうか。
理嗚「ツーアウトです。ゆったりいきましょう。」
前田「大丈夫だよ真田!」
真田「すまない…感情的になってしまった。」
岸柳「しゃーないよ。元々がそういう性格だったんだから。根の部分はさすがに直せないって。それでも十分投げてきたぜ。」
東山「相手だって疲れているはずさ。そろそろ俺たちも点とってやるからさ!」
真田「…ああ。」
そして内野の選手たちがマウンドから離れていった。気合を入れてまた仕切りなおしという感じだった。




