第十一話 第二十七部 線上の放物線
打球はセンター後方にグングンと伸びてきた。ついにはセンターがフェンスまでたどりついた。これは入るかも!
中山「よっしゃはいれ!」
府中「いや、だめだ。」
センターがグラブを構え、ボールを待った。そしてボールは落下していく。
バシン! アウトーー!!
新天「くそっ。」
綾「ああー! おしい!」
理嗚「ナイスセンター!!」
野宮「よっしゃあ!」
良い当たりだったけれどもこれまたアウト。なんともついていない日だ。けれども次は由紀の出番。ここは絶対に打ってくれそう。由紀がバッターボックスに向かおうとすると、キャッチャーはピッチャーのマウンドに向かって話し始めた。
理嗚「(どうします? 敬遠します?)」
真田「(ないだろ。もし次に打たれたら敬遠だ。)」
理嗚「(わかりました。)」
短い時間で話し終わるとキャッチャーが座ってプレーが再開された。でもどんな状況であっても由紀は打ってくれるだろう。
由紀「(さっきスクリューで打ったからなぁ。ストレート打って精神的にもダメージ与えないとね…。)」
理嗚「(外角低めのストレート。思いっきりで。)」
ピッチャーがうなずいて腕をあげる。そして大きなフォームからボールが放たれる。
シュゴオオオオオオ
由紀「(よし!)」
ギィイイン!!
亜弓「ナイスバッティング!」
理嗚「ライト! 三つだ急げ!」
由紀の打球はライト線にむかって放物線を描くように飛んでいった。線ギリギリに落ちたボールは線上に転がっていく。由紀は猛ダッシュでファーストベースを蹴り、セカンドベースも蹴った。
倉持「らぁああ!」
ライトから中継にボールが返される。しかしものすごい勢いで返球が来ている。
亜弓「由紀! スライディング!」
由紀は勢いつけてスライディングした。それと同時にボールが帰ってくる。
ザザザザザ バシーン!
セーフ!!
由紀「しゃあ!!」
由紀はガッツポーズした。三塁打だ。そしてまたチャンスで私の出番になった。




