第十一話 第二十部 意味のある打順
由紀「ナイスピッチング! さすがのストレートだね。」
亜弓「ありがとう。」
由紀「私でも打てるかどうか…。」
亜弓「ん? 何かあった?」
由紀「あ、いや。なんでもないよ!」
そういって由紀はジャグのところに移動していった。私も水分補給をしようとすると由紀がスポーツドリンクを入れたコップを渡してくれた。
亜弓「ありがとう。」
由紀「いえいえ。さて、私も頑張って点を取らないとね。」
友亀「俺だってやれるんだからな。」
そういって友亀がヘルメットとバットを持ってバッターボックスの方面へと移動した。でも…お世辞にも友亀はバッティングが良い方とはいえない。だから私も含めて下位打線なのだろうか。でも…栗山先輩だけは違う気がする。なんだろうこの…違和感は。どんなところからでも出来る九番バッター。たしかに想像すると怖い。でも…この投手から打てるのだろうか。
ガギィン!!
友亀「ぐっ。」
打球はサードゴロ。決して弱い打球ではないが強くもない。そのままサードが余裕で捕球し、ファーストへと送球した。
バシン アウトー!!
理嗚「よし、ワンアウト!!」
友亀が倒れてワンアウトになった。そしてここで九番の栗山先輩がバッターボックスに入った。
友亀「すまねえ。」
府中「大丈夫だ。…ここは一番バッターとして栗山に頑張ってもらいたいな。」
亜弓「えっ? 府中先輩、栗山先輩は九番バッターですよ?」
府中「もう一人の一番ってことさ。そうすると実際打順は違っていても、卜部が二番で俺が三番。そして四番には海鳳が入る。」
由紀「なるほど。四番が二人いるってことですね。」
府中「そういうことだ。一番打者としての役割を果たすようには栗山に伝えている。ただし…。」
亜弓「ただし?」
ギィイン!
栗山「くそっ、だめか。」
府中「さすがにこのピッチャーからは打つのは至難の業だな。あいつもミートは上手い方なんだが…。」
打球はセカンドの真正面。しっかりととられてファーストに送球。アウトになってツーアウトになった。なかなか打ち崩せない。しかし…チャンスはあったのに取れなかったのがくやしい。それも私がチャンスのときに…。次こそ絶対に決め手やる!




