第十一話 第十八部 怒りと勢い
ブン!バシーーン!!
ストライクツー!!
ストレートが低めに決まる。私はその球に思い切り振った。いや、思い切り振らなければ気がすまなかった。あんなあぶないボールを投げられて、由紀までもがアウトになってしまった。こんな人たちには絶対に負けてたまるものか!!
シュゴオオオオ
理嗚「(これなら!)」
ギィン!!!
理嗚「ショート!!」
私の打った打球はショート真正面へ。だけれども当たりは悪くない。しっかり捉えることもできそう。
バシン アウトーー!!
アウトはアウトだけれども…。
境「ナイスピッチング!」
前田「しゃあ!!」
私は早歩きでベンチに戻った。そしてヘルメットやバッティンググローブをすぐに外してマウンドに向かった。もう打たせない以外では許せない。報復球も投げる気はない。もう一点も取られてたまるか。
友亀「(あいつの怒ったときって、普通では考えられないように良い球を投げるんだよなぁ。焦ってしまうのが普通なのに。)」
バシューーン!!!
美琴「亜弓、あのこけたので投球に影響でないかな…。」
涼香「いや、問題なさそうよ。」
深沢「相変わらず良い球なげるな。」
三由「見た限り、怪我とかは全くしてないね。」
私は投球練習を終えて次のバッターが入ってくるのを待った。バッターは八番の谷川。早いところストレートで押し込んでいきたい。
谷川「(おそらくもうストレート主体になるだろう。どんな球か…こい!)」
私はゆっくりと体を動かし、腕を上げて投げた。
シュゴオオオオ
ブン! バシーーン!!
ストライクワン!
谷川「(は、速い…。というかなんだ、このボールが見難い現象は。)」
タイミングには全く合っていないみたい。これなら私のストレートだけでも抑えられる。それに心なしかストレートの勢いとノビが良くなった気がする。これは…特訓の成果が出たのだろうか。
シュゴオオオオ
ブン! バシーーン!!
ストライクツー!
佐奈「投げ方が特にすごいね。」
真菜「ノビ、勢い、速さが武器ではなく、あの子のフォームが見難いというのが一番打ちにくい理由ね。」
バシーーーン!!!
ストライクバッターアウト!!
谷川「(手が…でない。)」
まずワンアウトとった。それも三振で。どんなバッターが来てもこれで抑える!!




