第十一話 第十四部 作戦
ノーアウト二塁で五番の新天がバッターボックスに入った。監督が細かい指示を出す。サインプレーがあるのだろうか。新天はバントが得意なわけではない。どうするのだろうか。
理鳴「(ヒットを打たれたか。この状況を考えるとバントはない? このチームはバントが多いわけではない。かといってバントが確実にないとも言い切れない。)」
真田「…。」
理鳴「(心配する必要もないと…。はいはい、そういうことですか。)」
真田投手はバッターに集中し、ランナーは気にしないようになった。池之宮に気にしたところであの足では警戒するようなものでは無い。流石に走りはキャッチャーに見破られていたか。
シュゴオオオ ドスーーン!!
ストライクワン!
新天「(相変わらずむかつく球だぜ。)」
亜弓「新天は打てると思う?」
海鳳「新天のパワーがあればホームランの可能性もあるけど、今は狙う時じゃない。確実に三塁に行かせて由紀で返すか、あるいは一か八かで長打か単打を狙うか。」
府中「送る場合はリスク低いが、由紀のパワー不足が気になる。長打を狙うならリスクが高いが確実に返せる。」
芦毛「それでも一番良い方法は右打ちだ。」
シュゴオオオオ ドスーーン!
ボールワン!
沖田「まあ単打がとれたら最高って思っていいかもな。」
栗山「それだけヤバイピッチャーってことか。」
シュゴオオオオ ブン バシーーン!
ストライクツー!
新天「(たしかにストレートは池之宮じゃないと厳しいな…。)」
中山「でもあいつならやってくれそうだぜ。」
ツーストライクワンボール。追い込まれた。相手投手は無表情で威圧感を押し付ける。新天もそれに負けないほどピッチャーにプレッシャーをかけている。どうなるのだろうか。
シュッ
新天「(フォークか!)」
理嗚「(よし、良いコース!)」
ギィン!
打球は弱々しいあたりでセカンド方面に。その間に池之宮がサード方面へと走っていった。
友亀「よし、必要最低限!」
セカンドがファーストに送球し、アウト。しかしワンアウト三塁にすることができ、そしてバッターには六番の由紀に回ってきた。




