第十一話 第九部 四番の脅威
友亀「しゃーない。日高、いくぞ!」
亜弓「はいっ!」
私はすぐに気持ちを切り替えてマウンドに向かった。
佐奈「あの投手、普段はストレート主体だけど今日は変化球にたよっているね。」
真菜「キャッチャーの指示だね。でもどのバッターにもそのような指示は禁物だね。」
佐奈「私は…変化球で打たれてからキャッチャーもスイッチ入れてきそうな気がする。その前に気づけばいいけど。」
次は…あのピッチャーが四番、真田さんだ。ってでかい!
友亀「(でかいな…。ピッチャーとは違って、バッターになったとたん力任せに振りそうな気がする。ここは遅い変化球で振らせるか。)」
最初の球はサークルチェンジを低めに…。ボールになっても良いように!
シュッ ググググッ
バシン! ストライクワン!
真田「(ちっ。)」
これが入ったのは大きい。うまくストレートを使わずに変化球を入れられるみたい。これなら抑えられそう。
友亀「(よし、これなら…。)」
次はスラーブ。内角の厳しいところからストライクゾーンに!
シュッ
真田「ふん。」
ギィイイイイインン!!!!
亜弓「えっ!?」
友亀「なっ、レフト!!!」
由紀「そこでスラーブ投げるの!?」
由紀が後ろへと追いかける。しかし打球はグングンと伸びる。由紀はフェンスにたどりつくとのぼり始めた。
由紀「これは…。」
由紀はフェンスの一番高いところに立った。
瞳「あぶない!!!」
真田「まじかよ…。」
由紀がジャンプの構えをした…。しかし、
真菜「ダメ、入る。」
ポーン。頭上のはるか上をボールが通り越した。そのままスタンドにボールが入った。審判が手をグルグルと回す。ホームランを打たれた。
真田「ふう。」
くやしい。二回に早くも一点取られる、しかもホームランで…。私の特訓の成果とは一体何だったのだろうか。…でも。私はまだ投げなきゃいけない。それに肝心のストレートでホームランを打たれたわけではない。まだ試合は始まったばかりだ。
真希「あぁ…。」
由紀「これは…届かない。」
由紀は金網から飛び降りた。その表情はくやしそうだった。そして由紀は私のほうを向いて帽子をとった。
由紀「ごめん。」
由紀が謝った。でも…由紀は悪くない。
亜弓「大丈夫! …私、まだ投げられるから!」
由紀「…。」
由紀はすぐに笑顔になってグローブをパンパンと叩いた。
私は一点取られた。でも…まだ二回、ここから絶対に打たせなければ良いこと。抑えてみせる!!!




