第十一話 第八部 海鳳をもってしても
海鳳は左バッターボックスだ。一年生特待生組みの力を見せて欲しい。真田投手は変に意識しようとはせず、まるで鉄仮面のように表情一つ変えないでいる。今までの中で一番やりにくい相手だ。
理嗚「(こいつは…海鳳って言ったけな。注意していかないと。まず低めのストレートだ。)」
海鳳はしっかりと構える。真田投手は足を上げて投げる。
シュゴオオオオ ブン ドスーーン!
ストライクワン!
海鳳「ひゅーっ。」
初球は空振り、海鳳でも空振りしてしまう。恐ろしいストレートだ。
理嗚「(こいつは別物だ。初球から振ってボールとバットの差が近かった。)」
境「理嗚、打たせてとっていいぞ! さあバッチ来い!」
理嗚「内野しっかりまもっていこう!」
キャッチャーの指示で内野が大きく声を出し、気合を入れた。
海鳳! 海鳳!
スタンドから精一杯の応援が聞こえてくる。海鳳の耳にもきっと届いているはずだ。打ってくれるはず。
シュッ ググググッ
これはフォークだ!
ギィイイイン!
海鳳「っし!」
由紀「抜ける!」
打球は三遊間のショートより、強い当たりだ。これならレフト前にヒットになる!
理嗚「東山さん! 間に合います!」
東山「っしゃああ!」
ズザザザ バシン!
あの打球を捕った!? ショートはすぐに立ち上がりファーストに投げる。
東山「っし!」
沖田「海鳳走れ!」
ショートから速い送球が返ってくる。ファーストは目一杯足を伸ばす。海鳳も走る。
ドンバシン!
判定は!?
審判「アウトォ!!」
東山「しゃああ!」
前田「ふぃー。」
海鳳「っち、マジか。」
アウトになってしまった。スリーアウトチェンジ、初回三者凡退で攻撃を終えてしまった。




