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ドクターK少女  作者: レザレナ
第三話 紅白戦
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第三話 第十四部 強打者たち

羽葉「ナイスバッティング! 亜弓!」

 私がベンチに戻ってくると由紀がぴょんぴょんと跳ねながら待っていた。そうだ、私が帰ってきたからこれで三対一になったんだ。

亜弓「ありがとう。予想してたとおりに球が来たからしっかり打つことができたよ。」

 ほめられて嬉しかった。今回の打撃は自分自身にもほめたいぐらい上手く打てた。勇気を出してよかった。

 次は四番の池之宮からだ。しかしなんだろう、このなんとも言えないものすごい威圧感は。ベンチにいる私でさえ恐ろしいオーラを感じるような、そんな雰囲気が漂ってきた。おそらく芦毛先輩はそれを直に感じているだろう。あんな人と対戦するなんて恐怖心がまとわりつくものだ。

 池之宮が大きな構えをとる。ピッチャーはランナーをあまり気にしていない。おそらくバッター勝負だろう。

 シューーーバシン ボール

 警戒したのか、外角の厳しいコースにストレートを投じたがボール。それほど恐ろしいのだろう。

 ググッ ブシィン!パシン ストライクワン!

池之宮「おっと。」

 ものすごいスイングだったが空振り。風きり音がこちらまで聞こえてくるほど恐ろしいスイングだ。当たったら飛んでいくことは確実だ。

 シューーー

池之宮「うらっ!」

 キィイイイイン!!

 当たった、けど打球はどこへ行ったのか。よく見ると快音が聞こえたころには弾丸ライナーで左中間に打球が飛んでいっていた。これは取れないだろう。サードランナーの海鳳は余裕のホームイン。これで一点追加、四対一とリードを広げた。その打球の間にも池之宮は二塁に到達。ツーアウト二塁となった。

 ここで五番の新天だ。長打を狙っていくのか、それとも確実なヒットでつなげていくのだろうか。外野は深めの守備位置を取った。

 シューーーバシン ストライクワン!

 ストレートが決まった。まだまだ芦毛先輩はあきらめていないようだ。

 シューーー ブン バシン ストライクツゥ!

 新天が簡単に追い込まれてしまった。でも彼はこんなんで終わるバッターではない。

 グググ

 ここでカーブを投じた。

 キーーン!

 バットの先端で上手く当てたバッティングはセカンドの後ろにポツンと落ちた。

海鳳「池之宮走れ!」

 海鳳が叫んだ。ライトが深い位置で守っていたのでチャンスだったのだろう。ライトの中山先輩がボールに追いついてバックホームした。いい返球だ。池之宮がスライディングしてキャッチャーの芦毛先輩がタッチしにいった。判定は…。

 

 アウトオオオオ!!

池之宮「ぐわあああああ。」

海鳳「うわまじか。」

新天「これはいくらなんでも無謀だよ…。」

 ホームでタッチアウト。これでスリーアウトチェンジとなった。しかしこの回、二点を追加した。そしてこれから私は最終回のマウンドに向かうことになる。

由紀「亜弓。」

 由紀がグローブをパンパンと音を立てながら呼んだ。

由紀「最終回だね、落ち着いて投げれば大丈夫だよ。」

亜弓「ありがとう。」

由紀「もし四球とかが増えてきても全力で投げるんだよ。手を抜いたらそこでやられちゃうから。」

亜弓「うん、分かった。」

由紀「それじゃ。」

 パシーーーン!

亜弓「きゃっ!?」

 由紀がグローブで私のお尻をたたいた。

亜弓「な、なにするの!!」

由紀「気合入れるためだよ。」

亜弓「だからってお尻をたたくなんて! 背中でいいでしょ。」

由紀「そ、そんな気持ちでやったわけじゃないよ! 変態じゃないからね! そ、それじゃあ!」

 そういって由紀は顔を赤らめながらダッシュでレフトに走っていった。自分でやっておいて自分で恥ずかしがってどうするの。

 でも気合入れていかなきゃいけないのは確かだ。ここから最終回、相手は最後の最後まで粘ってくるだろう。だから私もそれに立ち向かっていかなければならない。私は抑えてみせる。


 そして私は、エースになる!


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