第十話 第十一部 由紀の打撃と中学生からの観客
ボールファ!
池之宮がバットをスッところがしてファースト方面へと走っていった。敬遠でワンアウトランナー一三塁。バッターボックスには新天が入った。
伊沢「池之宮じゃ盗塁できないしな…。」
栗山「新天頼むぞー。」
たしかに池之宮の足ではセカンドに走ってチャンスを広げられない。逆にアウトが増えて自滅するだけだ。確実にサードランナーの府中先輩をホームに帰さないと。
由紀「亜弓。私は打つよ。」
そういってバッターボックスへと向かい、素振りを始めた。新天たのむ、なるべく良い形で由紀に回して!
鶴島「(次はアレつかうか…。)」
シューーーー
新天「(初球から来た!)」
グッ キィイン!
新天「っ!?」
打球は高々とファーストのファールフライ。ストレートじゃなかった。ベンチから見ていても変化がわかる。あの変化球はなんだ? 手元で一瞬曲がった気がしたような。
バシン! アウト!!
新天がファーストフライでアウトになった。一球で片付けられるなんて…。
由紀「なーるほど。わかっちゃった。」
そういって由紀がバットをクルクルと回して左バッターボックスに入った。
由紀「お願いします!」
大きな声で挨拶するとゆっくりとバットの先端をピッチャー方向に向けて狙いを定めた。そしてゆっくりと構える。
バックネット裏スタンド
?「おー始まってる…ってタイミングバッチリ! レナ、始まってるよ!」
レナ・エプソム「待って可奈。…ウオー、高校野球って熱いネ!」
秋葉 可奈「アメリカから帰ってきたらまずこれを見なきゃ! 来年は私たちも高校生だし。それに今日は目的あってきたの。」
レナ「モクテキ?」
可奈「そう。私たちと同じように女子が野球やっているからね!」
レナ「デモ、そしたらもっと有名ナ山茶花選手トカ、八幡選手の所ニ行かないノ?」
可奈「ううん、私の目的は羽葉さん。私たちの一つ上だよ。ほら、あのバッターが。」
レナ「………fantastic.」
可奈「え?」
レナ「あの人スゴイ。それに…ベンチに入ってる一人の女の子モ。」
可奈「たしか…日高さん…。」
鶴島「(なんだよこいつのプレッシャーは…。)」
石山「(ただのバッターじゃないぞこいつ。)」
なかなか投手が投げようとしない。かなり時間を置いている。そして…。
シュッ!
シューーーー
鶴島「(振れっ! 引っ掛けろ!)」
由紀「(これね。)」
スッ
由紀がバットを動かした。そしてボールをしっかりと見て…。
キィィイイイン!
由紀「いぇい!」
府中「よし!」
池之宮「さすがだな。」
打球はセンター方向に綺麗なヒット性の当たり。由紀は右手でガッツポーズを取っている。応援スタンドは大きな声援になっている。いや、黄色い声援だ。




