第十話 第九部 速攻先取点
ウグイス嬢「二番、キャッチャー、府中君。背番号9。」
府中先輩がゆっくりと左バッターボックスに入る。バットをゆらゆらと揺らして両手でしっかりと握って構える。
日下部「(試合前に話した通りだ、初球からいけ。)」
卜部「(オーケーっす。府中、あとは頼むぜ。打ってくれよ。)」
卜部先輩が大きなリードを取る。相手投手にプレッシャーとして十分かけられるほどのリードだ。
石山「(どうする? ここは攻めるか? 守りにいくか?)」
鶴島「(もちろん勝負さ。)」
府中「(初球来るな…よし。)」
相手投手がセットポジションで構える。一度一塁に投げるそぶりを見せるがそのままなげずまたセットに入る。長いセットの後に…。
シュッ
ダッ
原島「走った!」
卜部先輩がなんのためらいもなくスタートした。しかもストレートではなくスライダーだ。よし、これなら絶対にセーフになる。
府中「(引っ張れ!)」
ギィイイイン!
鶴島「っつう!」
石山「今田! 長瀬! おえ! このままだとファーストランナーが帰ってくるぞ!」
打球はショートの頭を超えてライナーで右中間へととんでいった。どんなダイビングキャッチをしようとしても間に合うわけがない。確実にヒットになる!
府中「卜部! ホームいけるぞ!」
府中先輩が走りながら指示をする。府中先輩はすでにファーストベースを蹴っていた。
卜部「しゃあ!」
卜部先輩がサードベースを蹴る。それと同時にセンターから返球が帰ってくる。
長瀬「市井! バッターランナーよりホームだ! 思いっきりなげろ!」
市井「石山!」
シュッ
中継にカットしたボールが返ってくる。でも卜部先輩の足なら。
ズザザザ
バシン
セーフ!!
卜部「よっしゃ!」
そとに回り込んでのスライディング。さすが一番という走塁を見せてくれた。これでまず先取点。良い感じで点を取ることができた。




