第九話 第二十二部 完全試合達成後
友亀「よっしゃあああああ!」
由紀「やった! 快挙だよ!」
深沢「やりましたね!」
日下部「一つ壁を越えたな。」
すばらしかった。ここまで投球数78球。ピンチの場面もあったけど、すべて押さえきった。私は目の前で快挙達成を見ることができた。それは参考記録であったとしてもすばらしいことなのだ。
タッタッタッタ…
相手の四番打者が一塁にかけようとしていたバッターの呆然と立っているところに近寄った。
富田「戻るぞ…。」
浜本「先輩…すみません…俺っ。」
富田「泣くな…お前は来年があるんだ。ここで泣いている場合じゃないぞ。秋だってあるんだ。…俺たちの果たせなかった夢…かなえて見せてくれ。」
浜本「……はいっ。」
二人の選手が駆け足で整列しに移動している。その目には涙が浮かんでいた。勝者と敗者。………なんども考えてしまう私は感傷的なのだろうか。
審判「礼!」
皆「したぁああああ!!」
球場から大きな拍手が聞こえてくる。おそらく館川の快挙達成に対する拍手が多くだろう。しかし相手のベンチからも大きな拍手が聞こえてくる。
成見「館川…だっけな。」
館川「俺か?」
成見「また投げ合おうぜ。」
館川「ああ、待ってるぜ。」
館川と成見があつい握手を交わしている。二人ともとてもうれしそうな目をしていた。片方は本当の嬉しさ、もう片方は本当のくやしさがあった。




