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ドクターK少女  作者: レザレナ
第三話 紅白戦
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第三話 第十三部 狙い撃ち


そのころ由紀は


由紀「ねえ、友亀。」

友亀「ん? なんだ。」

由紀「亜弓の投球見て気になったのだけど、コントロールずれてきてるけど大丈夫かな? 本人は疲れてないって言ってるみたいだけど。」

友亀「今のところ心配はないよ。球の勢いも衰えてないし、球速も落ちてない。」

由紀「心配しすぎなのかな、私。亜弓が怪我したらどうしようって思って。」

友亀「そりゃあ初回か全力で投げてればそうなるよな。ただでさえ打者にとって見えにくい投球フォームだから体が柔軟なのはわかるけど、負担がかかるしなぁ。そうなると不安が募るだけだし。」

由紀「一応亜弓の状態はよく見ておいてね。」



 私もチームに貢献したい。ピッチングができるだけではレギュラーは難しい。だからここはなんとしても打ちたい。狙えるなら初球から打っていく。私はそう心に誓ってバッタボックスに入った。芦毛先輩はまだまだ気合が入っている。でも気合が入りすぎて力んでいるところを狙って打てば私だって打てるはず。狙いはストレート!

 シューーー

 来た!

 キーーン!

 やった、綺麗に芯でとらえた。打球は二遊間を抜けてセンター前に運んでいった。私の初ヒットだ。

由紀「ナイスバッティング!」

伊沢「配球読んで打ったな。ナイス!」

 ベンチから喜びの声が聞こえてくる。うれしい、ピッチャー以外でも貢献できた。後は後ろの人たちが打ってくれることを祈るだけ。

 次は一番に戻って米倉、三打席目に入った。そろそろタイミングも取れてきてるだろう。でも芦毛先輩も簡単には打たせてくれないだろう。

 シューーーズバン ストライクワン!

 ストレートが外角高めギリギリに入った。あれを打つのはむずかしそうだ。米倉は何を待っているのだろうか。

 グググッ

 今度は遅いカーブ。

 キーーン!

 良い音を残してセンターへ。しかし、打球が上がりすぎてしまった。センターの池田先輩は風も考えながら落下地点についてガッチリとキャッチした。これでワンアウトとなった。おそらくカーブを打ったときにややボールの下をたたいてしまったのだろう。

 次は二番の沖田、この場面でどのようなバッティングをするのだろうか。そう考えているとベンチからサインが出た。…バント。送りバントのサインだ。ここで送れば三番の海鳳に回ってくる。おそらく確実に点を稼ぐための作戦だろう。私には「バントしたら走れ」という指示が出た。私は芦毛先輩が投げると同時にやや大きなリードを取った。

 シューーーコツン。

海鳳「上手い!」

池之宮「さすがだな。」

 バントしたボールは三塁線に絶妙な球が転がっていく、大成功だ。サードはそれをしっかりとって一塁に送球、沖田はアウトとなってツーアウト二塁となった。ここで回ってきたのは三番の海鳳だ。ここで海鳳に回ってきたのはものすごい強みになる。ここから三・四・五番と強力な打者が連続で続くことだ。しかも三人とも調子はよさそうなので敬遠なんてしたところで必ず一点は入る。だからピッチャーは逃げれない。おそらく芦毛先輩は真っ向から勝負してくるだろう。

海鳳「日高! 歩いて返すから俺に任せろ。」

 なんて挑発的なこと言っているのだ、海鳳は。それを言ってしまったら芦毛先輩が怒ってしまう。

芦毛「チッ。」

 芦毛先輩が鋭い目つきで私を見てくる、やっぱり怒ってる。しかも怒りの矛先が私にまで向けている。海鳳はどうするのだろうか。

 ググググ ズバーン! ストライクワン!

 芦毛先輩が完全にきれている。今まで見てきた中で一番のスクリューボールだ。あんなの普通は打てるはずがない。

 ググググ 

 芦毛先輩がまたスクリューを投げた。

 キーーーン!!!

 快音が響いた。私はその瞬間あることを忘れてしまってることに気がついた。あんなボールは普通は打てるはずがない。「普通」ならだ。けれども海鳳は「普通」ではない。あれは紛れも無く「超人」呼ぶべきか、いや、「天才」と呼ぶべきなのだろうか。とにかくこの人は「普通」ではなかった。

 打球はセンターとライトの間に落ちた。本当に私は歩いて帰ってこれた。その間にも海鳳は二塁ベースを蹴って三塁まで向かった。外野から返球が来たが、すでに海鳳は三塁ベースまで到達していた。三塁打だ。

由紀「ナイスバッティング!!」

伊沢「さすがだ!」

池之宮「まぁ普通だな。」

新天「池之宮、そこはほめてあげようよ。」

 すごい、今年の一年生はすごすぎる。私なんか周りがこの活躍だから埋もれてしまってる気がする。うれしいのやら悲しいのやら。

 そして次のバッターは池之宮だ。おそらく…まだまだ点は入るだろう。



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