第九話 第二十一部 完全試合達成まであと一人
ツーアウト。三番の二年生、浜本が左バッターボックスに入った。
富田「頼むぞ! お前が頼りだ!」
羽田「チームの首位打者の意地を見せてやれ!」
敵スタンド「かっせーかっせー浜本!!」
相手から、すごい応援だ。大きな声でプレッシャーを与えてくる。この状況になれば必死になるはずだ。
味方スタンド「あと一人! あと一人!」
こちらも負けじと館川を後押しする応援が大きな声で聞こえてくる。記録のかかったこの一打席、野球の神様はどっちに微笑んでくれるのだろうか。
友亀「(ありったけをぶつける気持ちで来い!)」
館川「(そのつもりさ!)」
シュッ!
館川「らぁあ!」
シュゴーーー バシーン!
ボールワン!
浜本「っぶねぇ。」
体が一瞬ピクッと動いたがバットは出さなかった。さすがは三番に入ってるだけはある。そして館川がワインドアップで投げる。
シュッ!
友亀「(良い球!)」
グググググッ
パームボールだ。
浜本「(ためて…ためて…!)」
グッ
浜本「打つ!」
ギィイイイン!!
敵スタンド「よっしゃああああ!!」
打球は勢い良くセカンドの頭へ。やばい! 止めて!
友亀「セカンド!」
卜部「らぁあ!」
カスッ!
ああっ、グローブの先に当たって後ろに飛んでいった。これは落ちてしまう!
浜本「しゃあああ!」
吉村「よし! つないだ!」
打球も弱まってライトの前に落ちてしまう…。
府中「届けッ!」
ダッ
府中先輩が飛びついた! いや、府中先輩の足の速さと守備なら!!
バシン! ズザザザザ
捕球したかどうか見えない。取れたのか、取れなかったのか!?
バッ
府中先輩がグローブを上に上げた。果たしてバウンドは!
審判「アウトーーーーー!!!!」
館川「しゃあああああああ!!!!!」
してなかった! やった、完全試合達成だ!!




