第九話 第十九部 厳しい勝負
萌「皆大記録だ大記録だ、と言ってるけどそんなにすごいことなんですか?」
美和「そうねぇ。そう簡単に出来ることではないわね。もし出来たらプロから一気に注目が集まるからね。」
萌「たった一回でねぇ。」
綾「フレー! フレー! 館川!」
スタンドから快挙達成を願った応援が聞こえてくる。相手のチームからは必死に一本ヒットを打ってくれという応援が聞こえる。達成されるなら、快挙と屈辱が共に出てくる。これが勝負の世界というものだ。
友亀「(後二人…。)」
谷村「(そう簡単にさせてたまるかよ。)」
ワンアウト。バッターは谷村。前の打席ではセンターフライに打ち取っている。注意して投げてね。
シュルルルル バシン!
ボールワン!
スライダーが外に外れた。バッターはボールの目にあっているようだ。これは厳しい戦いになりそうかもしれない。
シューーー キン ガシャン!
ファールボール!
ストライクゾーンに入ったストレートを後ろにカットした。タイミングもしっかり合っている。
友亀「(厳しいところいくか?)」
館川「(そうだな。)」
館川が足をあげて横から投げる。
ググググッ バスン
ボールツー!
谷村「(よし…よし!)」
吉村「バッター見えてるよ!!」
中本「いいぞいいぞ!」
あのパームボールを見た。よほど目に慣れているということなのだろうか。
シューーーバシン!
ボールスリ!!!
敵スタンド「しゃああ!! ボールスリー! ボールスリー!」
友亀「大丈夫だ! 館川なら問題ない!」
館川「(いいんだ、まだノーヒットノーランがあると考えれば気持ちが楽になる。あとは構えたところになげるだけだ。)」
谷村「(落ち着け、相手はストライクを取りにくるはず。そこを狙えば。)」
友亀「(さて…ここまで来たか…おそらくストレートを待つだろうか…。いや、狙うならここはパームボールで勝負だ。)」
友亀がサインを出して構える。館川はゆっくり足をあげ、サイドから臨場感溢れるフォームで投げる。
シュッ! グググググッ
谷村「なっ!」
バシン!
ストライクツー!!!
友亀「よし! いいぞ!」
谷村「(ここでパームボール!?)」
富田「なんて強心臓の持ち主なんだ。」
真希「ひやひやさせるねぇ。」
瞳「私はこの雰囲気好きだよ。なんども柔道とかで経験してるからね。」
恵美・千恵美「私はごめんだね。」
美琴「あ、被った。」
恵美「同じこといわないでよ!」
千恵美「そっちこそ!」




