第九話 第十七部 ただただ、唖然。
またいった。しかもさっきよりものすごい打球だ。弾丸ライナーなのに異常な飛距離だ。相手投手、味方スタンドも敵スタンドもこの打球にはあきれ返っていた。あれは人間ではない。そう思いたいぐらいの当たりだった。
静まり返った球場を池之宮は悠然とゆっくりまわっている。この雰囲気はいままで感じたことがない。そのまま池之宮はゆっくりとホームを踏んだ。それと同時に相手の投手が力尽きたかのように膝をついた。
池之宮「ただいま。」
俺たちは何も言わずに手を出した。パチンパチンと叩く音だけが聞こえてくる。池之宮って本当にすごい人だ。プロに入ってもきっと名を残せる選手になっているだろう。そんな選手が一緒のチームにいるなんて…なんと嬉しいことなのだろうか。でも未来なんてどうなるかわからない。果たしてこのままホームランを打ち続けていくのだろうか。あるいは…。
五番の新天はショートゴロでアウト、そしてツーアウトランナー無し、六番中山先輩のところに代打が告げられた。
ウグイス嬢「六番の中山君に代わりまして、バッター、羽葉由紀。背番号、18。」
スタンド「羽葉だ! 羽葉ああああああ!!」
由紀の名前が呼ばれた。由紀はくるくるとバットを回しながら右バッターボックスに入った。
亜弓「由紀! 頑張って!」
私は前の試合のことを思い出して声をかけた。由紀はそれに答えるようにバットでフリフリと振った。そして初球。
シュッ
由紀「よっと。」
キィイン!
友亀「よし、抜ける!」
由紀の放った打球はピッチャーの足元を抜け、セカンドとショートの間を抜けていった。センター前ヒットだ!
由紀「いぇーい!」
由紀はガッツポーズを取った。それにあわせて私もガッツポーズを返した。




