第九話 第十六部 上げすぎ
池之宮「俺の仕事がなくなるだろ。」
海鳳「じゃあどうすればいい?」
池之宮「満塁で俺に回してくれ。」
海鳳「あいよ。」
海鳳がゆっくりとバッターボックスに入った。さっきは右打席だったけど、今度は左打席に入った。両打ちの本領発揮といったところだろうか。
富田「(くそっ、本当は敬遠したいぜ。でもそれだとコールドの点が入る。)」
田淵「(なるべく長打にならないようにしなければ…。願わくばゴロでアウトだ。)」
海鳳がゆっくりと構える。というかものすごく力はいってるし。池之宮にチャンスで回す気全くないよ。
池之宮「あのやろう。」
シュッ
低めのストレートがミットに向かっていく。
キィイイイイイイイイン!!!!
海鳳「あ。」
ベンチの皆「あーあ。」
まるで棒読みになってしまうぐらいにあきれ返った打球だった。内野フライ。しかも超特大の。力みすぎた結果がこれだよ。
審判「インフィールドフライ!」
うわぁ、最悪。インフィールドフライまで宣告されてしまった。セカンドがゆっくりと落下点に入る。しかし高い高い。
パシン
アウトー!
須賀「よし! ツーアウトだ!」
悔しそうに海鳳がベンチに戻ってくる。
海鳳「くそっ。あーあ、満塁で池之宮にまわしちまった。」
そういってヘルメットを置いた。
日下部「どうして満塁で渡したくなかったんだ?」
海鳳「あいつには負けられない事情がありまして…。ついでにいえばアイツ。」
そういって海鳳はどっしりとベンチに座ってため息をついた。
海鳳「アイツ、満塁とかの場面になると異様に打つんですよ。」
府中「異様に?」
ギィイイイイイイイイイイイイイイン
皆「うわーーーーーーー。」




