第九話 第十五部 完全試合が見えてきて
亜弓「由紀、何で止めたの?」
由紀「館川がマウンドに行ってから説明する。」
私は何が何だかわからなかった。なぜせっかくのチャンスをつぶしてまでも館川に無理させなかったのだろう。
友亀「館川、アレでいい。」
館川「そっか。後はピッチングだけ集中するよ。」
そういって館川と友亀がベンチから出ていった。そして由紀が私の近くによってきた。その様子は何かわくわくしているかのようだった。
由紀「ここまでの投球見ていてわからない?」
亜弓「たしかにヒット一本も打たれてないけど…。えっ?」
由紀「もしここですべっていたら、投球に影響がでるかもしれない。ましてや今日はとてつもなく絶好調。この点差だとあと一点取れば7回のコールドになるかもしれないけど…完全試合ができるかもしれない。」
亜弓「か、完全試合?」
私は半信半疑になりながら館川のピッチングを見守ることにした。それにしてもここまでワクワクする由紀を見るのは久々だ。あの時以来だろうか。私が始めて公式戦で先発したときの…。
…………
私は6回を過ぎてわくわくがとまらない現象に陥っていた。ここまで館川は6回ノーヒット。ファーボールなし、エラーなし。6奪三振のすばらしい投球を見せてくれている。そう、由紀の言ったとおり、完全試合が達成されるかもしれない。相手投手は五回から投手と一塁手が交代していた。それ以降はヒットがでなかった。そして七回の攻撃、館川がファーボールで出塁し友亀がヒット。続く卜部先輩がサードライナーでアウト。二番の府中先輩がヒットで出塁した。そしてワンアウト満塁で海鳳に回ってきた。




